松下洸平”牧野”の涙に感動…強さも弱さもひっくるめた芝居の凄みとは? ドラマ『放課後カルテ』第5話考察レビュー
松下洸平主演のドラマ『放課後カルテ』(日本テレビ系)が放送中。本作は、小学校に赴任した口も態度も悪い小児科医が、類稀なる観察眼で児童の異変に気付き、未来へ向かう子どもたちの背中を押す保険室ヒューマンコメディ。今回は第5話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】松下洸平に癒される…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『放課後カルテ』劇中カット一覧
牧野にとっての苦い過去…。
9日に放送された『放課後カルテ』(日本テレビ系)第5話では、牧野(松下洸平)の成長にフォーカスが当てられた。 医者として小学校の保健室の先生となった牧野。これまでも小学生を相手に必要以上に目線を下げることなく、あくまでも医師と患者として接することで子供たちにとって救いの場を生み出してきた。 しかし、そんな牧野にも苦い過去があったことが明らかとなる。数か月前、牧野の働く大学病院にシングルファーザーの貴之(塚本高史)が息子の真琴(三浦綺羅)を連れてやってきた。 牧野は真琴の症状と検査結果からインフルエンザと診断するが、2週間経っても熱は下がらず、貴之は再び真琴を連れて病院へ。高崎(田辺誠一)から別の細菌に感染していると診断を聞いた貴之は、牧野への不信感を募らせるのだった。 結局、真琴はリウマチ熱を引き起こしていたことが明らかとなり、悪化すれば手術も迫られる状況に。貴之は牧野を「こうなる前に止められなかったのか」と糾弾する。客観的に見ると、牧野側に医師として明らかな失点があったとは感じない。 ただ、もしかすると、病院に苦手意識のある真琴に電話でもっと違う言葉をかけていれば…あるいは最初から父・貴之に息子に注意を払うよう促していれば、違う結果となっていたかもしれない。
過去を経たからこそできる事
こうした過去があったからこそ、第4話では両親との関係で心に傷を負った水本羽菜(小西希帆)に「お前を助けたい」と直接的な言葉で寄り添うことを決めたのだった。 言うまでもなく、牧野はこれまでも相手が子供だろうと、自身に好意的な感情を持っていない相手だろうと、医師として「助けたい」という気持ちが揺らいだことはない。ただ、その気持ちだけでは思うようにならないことも過去の経験から知っていた。 だからこそ、羽菜に対しては自分の正直な気持ちをすべて言葉にすることで、彼女が心の中に築いていた分厚い壁を崩すことができたのだ。 保健室で羽菜の手当てをしながら、牧野は優しく語りかける。「お前の居場所は家だけじゃない。他にも頼る相手がいると知ってくれ」という言葉は大学病院時代の牧野から想像することはできないし、彼の人間としての成長を雄弁に物語る。 牧野がきちんと子供に寄り添うことができていたからこそ、羽菜は「来てもらえたのも、話聞いてもらえたのも、嬉しかったです」と笑顔で感謝を伝えるのだった。