日本球界に望むこと…グローバルな視点で世界の野球に好影響を与えてほしい!/元オリックス・マエストリ「カルチョの国から」06
世界から日本野球はどう見られているのか
一方で、イタリア人の私から見ても、日本の野球は良くも悪くも閉鎖的です。日本人の皆さんは、日本のプロ野球が海外からどのように見られているか、考えたことはありますか? 野球を愛し、日本が大好きな私でさえ、永らく世界ランク1位に君臨し続ける日本の野球が、一体どのようなものなのか、来日するまではまったく情報がありませんでした。イチロー選手や大谷翔平選手(NPBで何度も対戦したのが良い思い出です!)のように、MLBで活躍する選手がたくさんいるのはよく知ってますが、NPBがどんなリーグかは、まったく情報がありませんでした。来日してみて分かりましたが、閉鎖的というか、かなりハイレベルなのにグローバル化はしていない、日本国内で、日本のファンに向けて野球をしているんだな、という印象です。もちろんそれでビジネスは成り立っているのでしょう。 最後に私からお願いしたいことは、野球世界一の国の責任として、もっとグローバルな視点で世界の野球の普及と発展にも取り組んでもらいたいです。WBCを機に、チェコ野球と少しずつパートナーシップを進めていると、チェコでプレーしたことのある田久保(賢植)氏からも(浦口氏を介して)聞いています。前述のとおりイタリア国内リーグの問題点は、当然われわれ自身で解決しなくてはならないことですが、NPB経験者としては、日本の野球熱をイタリアの若い選手のモチベーションアップに何としてでもつなげたい想いもあるので、例えば秋の宮崎フェニックス・リーグにイタリアから有望若手の選抜チームや今回のように欧州選抜が参加するのも面白いと思うのです。そして、これはいつか実現したいと強く思っています。 必死に自チームで頑張って秋に宮崎に行けたら、もしかしたら私のようにNPBと契約できるチャンスがあるんだ! そう思って世界中の若者が日々野球に打ち込むことって、素晴らしいと思いませんか!? もちろん、日本のNPB球団やアマチュアチームと、それ以外のいろいろな交流も皆、ウェルカムです! 日本の皆さんは野球世界一の国の、世界一レベルの高い野球ファンであるからこそ、その誇りとさらなるグローバルな視点で、これからも世界の野球に影響を与えてください。 そうなれば私も本当に嬉しいです!! PROFILE アレッサンドロ・マエストリ●1985年6月1日生まれ。イタリア出身。2005年に開催されたMLBヨーロッパアカデミーの1期生。06年の第1回WBCのイタリア代表に選出され、その後カブスと契約。4年間のマイナー生活を送るも2Aで終わる。アメリカ独立リーグ、オーストラリア、四国ILの香川を経て2012年途中にオリックス入団。NPB史上初のイタリア生まれ、イタリア育ちの選手の誕生となった。オリックスには15年まで在籍。NPB通算96試合登板、14勝11敗1セーブ2ホールド、防御率3.44。16年以降は韓国、BCリーグの群馬などでプレー。2020年に現役引退。3月に「カーネクスト侍ジャパンシリーズ2024」で侍ジャパンと対戦する欧州選抜の投手コーチを務める。
週刊ベースボール