高額療養費、上限額3段階でアップ 所得階層を細分化(厚労省)
厚生労働省は12月25日、医療費が高額になった場合に患者の負担を抑える「高額療養費制度」について、自己負担の上限額を引き上げることを決めた。引き上げの時期は今年8月、2026年8月、27年8月の3回。現在、上限額は5区分の所得階層ごとに定めているが、26年8月からは13区分に改める。高所得の区分ほど引き上げ率を高くする。負担能力に応じてなだらかに上限額を引き上げ、現役世代が負担する保険料を抑える。 現在の5区分の一つで、平均的な年収とされる「370~770万円」の場合、上限額は月約8万100円だが、8月からは約8万8200円に上がる。26年8月から所得階層は3区分され、そのうち上の2区分はさらに上がる。 5区分のうちの一つ「住民税非課税世帯」だけは細分化しない。現在の上限額は3万5400円で、8月に3万6300円に上がる。その後はこの額で据え置く。 高額療養費制度は、入院などで患者の自己負担額が高くなった場合、年収に応じた上限額を超えた分を医療保険制度で払い戻す仕組みだ。21年の高額療養費の支給件数は6198万件、支給額は2兆8500億円。厚労省によると、今回の見直しにより、支給額は最終的に年間5000億減らせるという。