日本映画史に残る俳優降板トラブル…悪夢を見たワケあり邦画(1)社会現象級の大騒動…プッツン女優の代役は?
病気や怪我、はたまた役者の突然の芸能界引退…。スケジュールの厳しい撮影期間中、役者の急な降板トラブルは意外と多い。しかしそのピンチを、代役の俳優が思わぬファインプレーで作品を成功に導くことも。今回は邦画から代役を見事にこなした作品をセレクト。降板理由を交えて紹介する。今回は第1回。(文・寺島武志)
降板→沢尻エリカ 代役→北川景子
『ハンサム★スーツ』(2008) 上映時間:115分 監督:英勉 脚本:鈴木おさむ キャスト:谷原章介、塚地武雅、北川景子、佐田真由美、池内博之、本上まなみ、大島美幸、伊武雅刀、佐々木希、山本裕典、住田隆、ブラザートム、中条きよし 【作品内容】 家業の定食屋で、その料理の腕は高く、人望も厚いものの、その容姿のせいで女性には全くモテない人生を歩んでいた主人公が、着るだけでハンサムになれるスーツを手に入れて変身する姿を描いたラブコメディー。 主演のブサイクな男・塚地武雅と、ハンサムになった男・谷原章介が織りなす“2人1役”を軸にストーリーが展開し、人間は、外見ではなく中身だということに気づかせてくれる作品だ。 【注目ポイント】 本作でヒロイン役を務めたのは北川景子。しかし、当初にキャスティングされていたのは沢尻エリカだった。 沢尻はこの前年、主演映画『クローズド・ノート』の舞台挨拶で、異常なまでにぶっきらぼうな態度に終始し、“「別に」事件”として、大バッシングを浴びた。 この騒動と、同作品の降板が関係しているかは定かではないが、『間宮兄弟』(2006)で共演し、当時は同じ事務所に所属し、同学年でもある北川景子にバトンが渡された格好だ。 結果として、このキャスティングは、役柄のイメージとの一致という意味では成功したが、さらに、沢尻が起こした、その後の事件(離婚騒動や薬物逮捕)を考えれば、“結果オーライ”だったといえる。
寺島武志