【百年料亭をめぐる】和の伝統が薫る空間で、熊本の「一期一会」のもてなしを楽しむ
くまもと料亭 田吾作/熊本県熊本市
ほんのりと行燈の灯る玄関を入れば、伝統的な和の世界が広がる。屏風や生け花の出迎え、渡り廊下から眺める庭、控えの間にはゆかしい香の薫り。田吾作のもてなしは、古くから受け継がれた和のしきたりを大切にしている。 創業は1895(明治28)年。およそ一千坪の敷地に、日本庭園を取り囲むように大小の客室が用意されている。舞台を備えた大広間や、庭を望む離れ座敷、洋風テーブルがなじむ和モダンの部屋など、広さも趣もさまざまな客室で、思い思いのひとときを過ごすことができる。
供される料理の心は「一期一会」。客人が料理と出会う瞬間、最高の満足を得られるよう料理人が心を砕く。京懐石を基本に、吟味された郷土の素材がふんだんに使われ、とりわけ熊本生まれの伝統和牛「赤牛」、有明海の新鮮なフグや車エビなど、熊本ならではの美味はぜひ味わいたい。 また、昼懐石で人気の「豆腐田楽」は、独特のもちもちした食感の豆腐を、2種の味噌だれで焼き上げる田吾作の名物。最近、この味噌だれをたっぷり使った味噌食パン「田楽」を発売、「老舗料亭が本気で作った食パン」として、オンラインショップで人気を集めている。 伝統を守りながらも、さまざまなチャレンジを続ける田吾作。熊本地震からの復興には、地域の大学関係者の協力もあった。熊本最後の料亭の灯を守るため、これからも歩み続けて欲しい。 くまもと料亭 田吾作 【所在地】熊本県熊本市西区花園1丁目15-3 【電話】096-353-4171 【営業時間】12時~14時30分、17時30分~21時30分 【定休日】不定休 ※3日前までに要予約 【駐車場】15台 ※「百年料亭」は百年料亭ネットワークの登録商標。百年料亭ネットワークは、古くからの日本料理を守り、また、それぞれ の家風や仕来りを継承しながら、これからも地域の老舗として大いに飛躍する共に、お互いの交流や国内外からの誘客を促進し地方都市の活性化に資することを目的としている。