米利下げ幅は他の主要中銀より小幅と見込む-ピムコの債券投資戦略
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度が今後2、3年に実施する利下げは、他の主要中央銀行よりも小幅にとどまると見込む債券取引に好機が訪れていると、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のグローバル債券担当最高投資責任者(CIO)、アンドルー・ボールズ氏は考えている。
世界の金利トレーダーは現在、ほとんどの先進国・地域がほぼ一律に政策緩和を行うと予想している。米連邦準備制度、カナダ中銀、イングランド銀行(英中銀)がそれぞれ150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)程度、欧州中央銀行(ECB)とニュージーランド準備銀行はもう少し多くという具合だ。
しかし、ピムコは政策の道筋が分かれ、米国の利下げ回数は他の中銀より少なくなる公算が大きいとみている。その主な理由は、住宅ローン市場の違いだ。米国では固定金利の住宅ローン利用が多く、借り手はローン金利を新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期に歴史的な低水準で固定することができた。この結果、急激な利上げによる影響が和らげられた。
ピムコの142億ドル(約2兆1500億円)規模の「インターナショナル・ボンド・ファンド」は、変動金利の住宅ローンがより一般的な米国以外について、より大幅な緩和を見込んでいる。変動金利の下で借り入れコストの上昇が今後2年間の成長とインフレにより重くのしかかるからだ。
ボールズ氏は「利上げによる経済への影響が早期に波及しやすい住宅ローン市場というのが、(米国以外の)多くの国に共通するテーマだ」と語った。
ボールズ氏とポートフォリオマネジャーのサチン・グプタ氏は先週ロンドンでのインタビューで、英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ユーロ圏の債券を米国より選好していると語った。これに基づく債券取引を、フロントエンドでも10年物でも増やしているという。
強い確信
ボールズ氏は米国と他のソブリン市場との間で「こうした相対価値のポジションを取ることは非常に理にかなっている」と語った。「かなりうまくいっている」とし、「確信は確実に以前よりも強くなっていると言える」とも述べた。