いよいよ佳境「なつぞら」につきまとう“都合の良さ”
広瀬すず主演のNHK朝の連続テレビ小説「なつぞら」が今週に入って再び北海道・十勝の大自然に舞台を移動、物語終盤へ向けて盛り上がる。18年勤めた東洋動画を辞めてマコプロ入りしたなつ(広瀬)が、新作のロケハンのため同僚らとともに十勝を訪れたのだ。10日放送の第140話では、泰樹(草刈正雄)が開拓時代の話を聞かれ、自らの生い立ちを明かす場面もあった。天陽ロスのショックもさめやらぬなか物語は佳境を迎えつつあるが、その展開について「都合が良すぎる」との声が少なからずあることも見逃せない。
葛藤描くも解決がスムーズ過ぎる?
なつは第138話でついに仲(井浦新)に東洋動画退社の意向を告げ、9日放送の第139話では仲をはじめ井戸原(小手伸也)、堀内(田村健太郎)らと熱いあいさつを交わし、花束と拍手で見送られた。そして無事マコプロに入り、麻子(貫地谷しほり)をはじめ夫の坂場(中川大志)、神地(染谷将太)らと新企画にチャレンジすることになったわけだが、この辺りの描き方に対し、ネット上には「同業他社に転職する人に、あんな送別をする会社がどこにあるのか」「主要メンバーを引き抜かれ、ついに主役まで持って行かれたのに最敬礼で笑顔で送り出すとは」などと、疑問を呈する声が出た。 以前から「なつぞら」は物語の展開が都合良すぎる、という感想がネット上に散見されてきた。最近大きな反響があったのは、なつが育児と仕事の両立で葛藤するくだりだろう。8月に入って第20週・21週で、なつが妊娠して、社員を続けるのか、それとも辞めるのか、女性が出産したら退職することが当たり前という風潮が全盛だった昭和40年代らしい葛藤が描かれ、ネットでも反響を呼んだが、その中には「なつぞら」の描き方に対して疑問の声も少なくなかった。
まるでマコプロ慰安旅行?十勝ロケハン
なつよりも先に妊娠した茜(渡辺麻友)は、産後は契約で働いてほしいと言われ辞めていったが、なつは出産後も出産前と同じように働きたいと、周囲を巻き込みながらその権利を獲得していった。役所では「子どもを犠牲にしてまで仕事を続けるのか」というようなことを言われたり、保育所の問題など、一応なつの悪戦苦闘ぶりやさまざまなディテールはフィーチャーされてはいるのだが、いささか詰め込みすぎの感もある。 「男女雇用機会均等法も育児休業法もない時代のお話です。なつのモデルとされる奥山玲子さんがあの当時に乗り越えてきた道は、もっと苦難に満ちたものだったのではないか、と想像できます。ところがなつの場合は、何か困難に直面しても、そのたびに周りの人たちから助けが得られて簡単に解決していってしまう。挙句の果てに、仕事を諦めて育児をしている茜にまで頼りまくる。とにかくなつを取り囲む人たちはみんないい人たちで、なつに協力を惜しまない。あれでは“仲良しクラブ”だと揶揄する声まであります」と話すのは、スポーツ紙の40代女性記者。 実際、ただいま描かれているマコプロの北海道ロケハンのエピソードについても、「仕事なのにあのゆるい雰囲気は、まるでマコプロの慰安旅行」「予算のないなか交通費だけで済むからと柴田家にみんなで押しかけるとは、厚かましいにもほどがある」と、疑問を呈する声が出ている。