夜空を彩る「幻の天守閣」 福岡城の天守閣はあった?なかった?専門家でも分かれる意見 復元議論の行方は?
■全国で再建された天守閣いくつかの種類 昭和以降に再建された天守閣には、いくつかの種類があります。 ・史料に基づいて建てられた「復元天守」 ・小倉城のように史料が少なく、正確に復元されていない「復興天守」 ・唐津城のように、もともと天守閣がなかった城や存在が確認できないまま建てた「模擬天守」です。 文化庁はこれまで、「復元天守」について絵図や写真などの精度の高い史料がなければ、認めていませんでした。 しかし、2020年に基準を緩和し、外観や構造の一部が分からなかった場合でも、それを明示すれば、「復元」に準じる「復元的整備」として、再建を認めることにしたのです。 ■史料が足りず復元は難しい ただ、城の整備に詳しい専門家は、福岡城の天守閣の復元は、「史料が足りず非常に難しい」と話します。 名古屋市立大学 千田嘉博教授「細かな設計がどうなっていたかを示す史料は現状見つかっていない。いくら復元的整備でも現状では到達するまでの学術的な史料を積み重ねることができていない」 また、仮に史料が見つかったとしても、福岡城跡は当時の石垣などが多く残り国の史跡となっているため、新たな建物を建てることは現状できないと言います。 名古屋市立大学 千田嘉博教授「耐震強度を満たす基礎工事を行うと、本物の天守台を壊してしまうことが避けられない。天守台の地下構造を壊してはいけないという条件をクリアしようとすると現実的には建てることができない」 ■盛り上がる議論市民からは様々な反応が 福岡の市民は天守閣の復元についてどう思っているのでしょうか。 市民「別にいらないと思う。そんな新しいのをわざわざ作らなくていい」「あえてそこにお金を投入することはないかな」「あったらインバウンドとかいいんじゃないですか」 再建には多くの課題がある福岡城の天守閣。「幻」のまま終わってしまうのか、今後の議論の行方が注目されます。
RKB毎日放送