「パワポはビジネスマンの“武器”」明石ガクトが力説する理由。クリエイターも例外ではない
「“白地に1行でドン!”が許されるのは一部の天才だけ」
川崎:ちなみに、資料のデザイン性についても重視していますか? 明石:そうですね。電通にいらっしゃる川崎さんの前で言うのもなんですが、例えばコピーライターの人たちって言葉を磨くのに時間を使い過ぎて、パワポで「白地に1行でドン!」ってやりがちじゃないですか。あれをして通用するのは一部の天才たちだけだと思うんですよね。漫画の『ワンピース』で言うと覇王色の使い手というか。 川崎:確かに!“この人だからこそ通っちゃう”プレゼンみたいなのはあります。 明石:でも、プレゼン資料は発表されてその場で終わりじゃなく、基本的にはその後に現場の担当者さんが会社に戻って上長の決裁を取らなければならないものですよね。そのとき、資料が「1行でドン!」の連続だと情報の伝達が難しい。やっぱり具体的な情報や資料全体のトーンも含めデザインとして資料に集約されてないといけない。 川崎:クリエイター、1行でドン!みたいな資料、作りがちかもです。耳が痛い……。 明石:ミニマリストのひとたちの部屋紹介で、「ほとんど何もない部屋にプロジェクターだけドン!」みたいなのあるじゃないですか。シンプルなのはいいんだけど、果たしてそれはおしゃれなのか?という問題と似てるというか。 いろいろな情報が詰まったうえで“見やすくて美しい”のが資料に求められていることだと思いますね。 川崎:パワポはひとりで旅をしないといけないですからね。 明石:そうそう。俺の親友の三浦崇宏(The Breakthrough Company GO代表)っていう奴も「ドン!」をやりがちだから指摘したんだけど、「俺は決裁者クラスの相手にしかプレゼンしないから」って言ってた。まぁ、かなり特殊なパターンですね(笑) 川崎:多くの人の場合は、プレゼン後に資料だけが社内で何度も回覧されちゃいますもんね。
プレゼン資料は顧客に見せる最初のクリエイティブ
川崎:先日、Xでも話題にしていただきましたが書籍『美しすぎるパワポ』のテンプレはいかがでしたか? 明石:すごくいいなと思いました。詰まるところ、プレゼン資料のデザインってクライアントに見せる最初のクリエイティブだから、そこが上質じゃないと通らないし、仮に通ってもなんとなく不安が残っちゃいますから。 パワポを作るのが苦手な人って「①情報の整理の仕方がわからない」、「②言葉の絞り方がわからない」という2つのレイヤーがあると思うんだけど、この本は前者をメインにカバーしてますよね。 川崎:そうですね。あと、テンプレをダウンロードしてもらえばわかるんですが、実はテンプレ内に「ここは重要な点を一言で」とか、どんな言葉を入れればいいかのガイドも付いていて。 明石:え!? (ダウンロードしたテンプレのガイドを見て)……本当だ。すみません、まだダウンロードしてなくて(笑) 川崎:書籍でも色々と使い方のコツを解説してるんですが、ダウンロードできるテンプレの方にもガイドがあるので、「書き込み式ドリル」みたいに従えば、それだけでも美しさを保ちつつ、情報の整理された資料ができるようになっています。 明石:めちゃくちゃいいじゃないですか。そのガイド文言については帯とか書籍にも書いておいた方がよかったね。