新たな高齢者就業支援サービスに乗り出す三井住友海上火災保険　＝東京都千代田区の本店

三井住友海上火災保険は21日、高齢者の就業機会拡大に向け、新たな支援サービスを開発したことを明らかにした。法律で70歳までの従業員に対する就業機会確保の努力義務が課される中、対応に苦慮している中小企業などに対し、同社が提携する日本労働者協同組合（ワーカーズコープ）連合会を通じて労働者協同組合（労協）が運営する介護施設やカフェなどで雇用の機会を提供できる枠組みを構築した。無償で利用できることから、同社は同サービスをテコに企業との関係を強め、最終的に保険販売の拡大につなげる狙い。 三井住友海上は、全国の各支社とつながりが深い日本商工会議所などの経済団体を通じて、企業へのサービスの周知と提案を進める想定。当面は、神奈川、長野、福井、三重、徳島の5県で事業協力を行った上で、全国に拡大。令和8年度末に50法人での利用を計画し、サービスに付随する保険販売収入で2500万円を見込んでいる。 今回のサービスは、3年4月の高年齢者雇用安定法の改正を受け、従業員に70歳まで働く機会を確保することが企業の努力義務となり、主に中小企業で対応が難しい状況を踏まえて、導入することを決めた。 総務省の人口推計によると、今年9月15日時点の65歳以上の高齢者数は前年比2万人増の3625万人と過去最多を更新。総人口に占める割合も過去最高の29・3％に達した。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、第2次ベビーブーム（昭和46～49年）世代が65歳以上となる2040年には34・8％まで上昇する見通し。少子高齢化で現役世代の層が薄くなる中、三井住友海上は今回のサービスについて、長期的な利用が見込まれると考えている。