古田新太「何を言われても断らない」生田斗真や中村倫也にも伝えた、役者がやるべき「準備」
「絶対に無理はしない」
寿司職人になるためには中学生くらいから握っていなきゃダメなのと一緒で、今回共演する斗真にしても倫也にしても、ガキのころからエンターテインメントの世界に身を置いて、ちゃんとトレーニングを積める場所でやってきたわけだから。若い役者たちには“とりあえずタップとクラシックバレエはやっておきなさいね”と言っています」 ――今までやっていないことで、これから挑戦してみたいことは? 「やったことがないのがほぼないんですよね。日本にも色々な俳優さんがいらっしゃるけど、ゾウ、サンショウウオ、壁の役をやったやつは多分オイラしかいないんじゃないかな」 ――なんでも断らずにやることで、色々な役に挑戦できて楽しそうですね。 「うん、楽しいね。高倉健さんや勝新さん(勝新太郎)みたいに、何をやってもその人っていうような役者は素質が違うし、そういう人はそれでいいんだけど、オイラみたいなチンピラ俳優は、何か言われたら“はい”って言ってりゃあ、色々な役が来るんです。 でも、“デ・ニーロ・アプローチ”(徹底的な役作りを行うこと)はしません。例えば、癌を患う人の役だから痩せてと言われても、それは嫌ですって言います。痩せた俳優はほかにいっぱいいるんだから、オイラにその役をさせるのはキャスティングミス。だから絶対に無理はしない」 ――ちなみに、早く帰った後に待つものは? 「酒!!」 インタビュー中、こちらのどんな問いかけに対してもスラスラと淀みなく語る古田さん。この道を志した頃から役者になるための準備をし「そのとき」のためにたくさんの「武器」を備えてきたからこそ、今でもぶれない思いや信念を持っているのだと感じた。 ふるた・あらた 1965年12月3日、兵庫県生まれ。大阪芸術大学在学中にデビュー。近年の主な出演作に、映画『空白』や、テレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』、『俺のスカート、どこ行った?』、『不適切にもほどがある!』、NHK大河ドラマ『どうする家康』など多数。また、「劇団☆新感線」の各作品のほか、『贋作・罪と罰』、『リチャード三世』、『パラサイト』などの舞台にも精力的に出演している。 衣裳協力/カーディガン28,600、パンツ22,000/共にパゴン(問パゴン本店Tel075-322-2391) 根津香菜子
根津香菜子