福岡名物「ごまさば」どうなる? 増えるアニサキス食中毒 電気で殺す装置も登場
テレQ(TVQ九州放送)
忘年会シーズン。福岡の居酒屋の定番と言えば「ごまさば」。鯖と甘いたれ、ごまの組み合わせが、舌をうならせます。ただ東京や大阪から来た人から見ると「サバを生で食べるのか?」とびっくりされることもあります。その理由はサバに寄生するアニサキスです。食べて食中毒を起こすと胃に激痛が走ったり嘔吐したりします。 アニサキスは玄界灘と太平洋で種類が違うため、玄界灘のアニサキスは魚の内臓から身の部分に移行しにくく、福岡のサバはあたらないと言われていました。しかし近年、その状況に変化が生じています。 福岡県生活衛生課 友枝哲宏課長 「全国的にも増加していて福岡県でも昨年、一昨年と非常に多い結果でした」 県によると、近年アニサキスによる食中毒が急増していて、2019年は17件だったのが、2022年は53件、2023年は51件と急増。12月2日には、釣ったサバを自宅で調理し、刺身として食べた女性がその翌日に腹痛などを訴えアサキスによる食中毒と診断されました。 急増の原因は分かっていないと言いますが、県も注意を呼び掛けます。 「魚を生で食べること自体が危険というわけではないので、アニサキス等に十分に注意して食生活を楽しんでほしい」 そうした中、福岡市の水産加工会社「ジャパンシーフーズ」は大学と連携し、サバやアジからアニサキスを除去する装置の研究に乗り出しています。 ジャパンシーフーズ 井上陽一社長 「こちらがパルス殺虫機」 まだ試験的な装置ですが、アニサキスを電流で除去します。装置には食塩水を入れ、そこに三枚におろした魚を入れます。1億ワットの電流を3分間流し続けることで寄生虫を99.9パーセント除去します。 現在は紫外線を当てることでアニサキスを可視化し目視で取り除いていますが装置を本格導入できると、さらなる安全性を確保できるといいます。 「食品メーカーとしてより新鮮な物をより迅速に加工してよい良い状態で客に届けられるようにしたい」 アニサキスは、水産業界にとって長年の悩みの種。丁寧な調理や新しい技術で「ごまさば」がこれからも安心して食べられるよう願いたいものです。
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