日本のシュトーレン、先駆けは饅頭屋だった!?福岡『千鳥屋』に聞いたお化けパン”と呼ばれたシュトーレンが日本で愛されるまで
新聞の記事にも!ドイツ文化を取り入れたカフェスタイルで人気急上昇
シュトーレンの美味しさを当時1番理解していた原田氏。どうすればイメージを払拭し、美味しさを伝えられるか考えあぐねた末、ある秘策を思いつきました。 今泉さん「一度食べてもらえれば、絶対に好きになってもらえるはず。そう考えた原田は店に喫茶店コーナーを作り、シュトーレンを食べてもらうようにしました。これは、原田がドイツで見たカフェの様子から着想を得たもので、本当に多くのお客さんが来店したそうです」 なんとその姿は地方新聞に掲載されたそう!これを機にシュトーレンのイメージはがらりと変わり、多くの人に知られる存在となりました。
日本独自の発展。ますます広がるシュトーレンブーム
ドイツからシュトーレンのレシピを持ち帰った原田氏。しかし、材料や気候の違いもありなかなか納得できるものが出来なかったそう。 今泉さん「本場の味を忠実に再現するために何度も試行錯誤を繰り返した結果、素材にこだわることで解決しました。『千鳥屋』のシュトーレンは北海道産の無塩発酵バターをふんだんに使って仕上げています。数種類のスパイスと合わせたしっとりとした生地に、ラムで漬込んだ4種のドライフルーツを練り込み、焼き上げます。それから2か月間、酸化しないよう細心の注意を払いながら少しずつ熟成させることで、まろやかな味わいを引き出しています」 原田氏の努力もあり、人気を集めようになったシュトーレン。 現在日本では、抹茶や餡子を使った和風のものや、地域の素材にこだわったもの、夏に販売されるサマーシュトーレンなど、類い稀なる進化を遂げています。これほどまでに日本人がシュトーレンを愛するようになった背景には、原田氏によって多くの人がシュトーレンを食べるようになり、本場ドイツの味に親しみを感じる人が増えたからかもしれません。
今泉さん「『千鳥屋』のシュトーレンはお客様の口コミで少しずつ広がっていきました。最近では、クリスマスマーケットが各地で開催され、ドイツ文化全般が身近になってきたように感じます。元々はクリスマス期間に食べるシュトーレンでしたが、1年間販売する専門店も出てきました。 これからも、1人でも多くの人に『千鳥屋』のシュトーレンを届けられるように、変わらぬ味を守り続けたいと思います」 『千鳥屋』のシュトーレンは毎年500個限定で、今年は例年に比べ早く売り切れそうなんだとか。みなさんもぜひ、日本で50年以上変わらないシュトーレンの味を堪能してはいかがでしょうか。 About Shop 千鳥饅頭総本舗 本店 福岡市博多区上川端町9-157 営業時間:10:00~18:00 定休日:元日
ウフ。編集部 上野園果