トランプ氏勝利、広島の被爆者「核廃絶どころか核抑止論に拍車かかるのでは」…知事は「模範となるべき行動期待」
米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、核兵器のない世界の実現を目指してきた広島県内の首長や被爆者らからは、期待や不安の声が聞かれた。
広島市の松井一実市長は「被爆者の切なる願いである核兵器廃絶に向け、強いリーダーシップを発揮していただくことを期待する」とのコメントを発表した。核拡散防止条約(NPT)履行における米国の役割は大きくなっているとし、「世界の核兵器の増強や近代化を進める動きに歯止めをかける」ことを求め、長崎市とともに被爆地への訪問を要請する考えも示した。
湯崎知事は、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞決定に触れ、「被爆者の切なる核兵器廃絶の願いが、世界で共感を得ている結果。国際世論も踏まえ、率先して核軍縮及び核兵器廃絶を一歩でも前進させるよう、模範となるべき行動を期待する」との談話を出した。
2016年にオバマ元米大統領が広島を訪問した際に抱擁した被爆者の森重昭さん(87)(広島市西区)は、トランプ氏がイスラエルによるイランの核施設攻撃を容認していることに「戦争をあおるような発言。核の脅威がこれほどまでに高まっているのかと感じ、第3次世界大戦になってしまうのではないかと不安だ」と話した。
胎内被爆者で広島平和記念資料館の元館長・畑口実さん(78)(廿日市市)もロシアのウクライナ侵略や、パレスチナ自治区ガザで戦闘が続く現状を踏まえ、「トランプ政権になれば、核廃絶どころか核抑止論に拍車がかかってしまうのでは」と懸念を口にした。