遅い台風、収穫急ぐ 白山の梨畑 31日県内最接近か 非常に強い勢力、奄美進む
台風10号は27日、非常に強い勢力に発達し、奄美の一部を暴風域に巻き込みながら西寄りに進んだ。東海など太平洋側の各地で局地的に雨が強まり、同日朝には東海道新幹線が一時運転を見合わせた。29日以降に北寄りに進路を変えて、石川県内には31日に最接近する見込み。台風は速度が遅く、影響が長引く恐れがある。白山市の梨畑では、収穫終盤を迎えたナシの落下被害を防ごうと農家が収穫を急いだ。 白山市内の梨畑では、県産ナシの主力品種「幸水」の収穫が大詰めを迎えている。収穫期を迎えた実は重く、落下しやすいため、台風被害を最小限に抑えようと、農家がたわわに実ったナシを手際よく摘み取った。 出荷先の金沢市中央卸売市場は28日が休市のため、本来なら前日に収穫しないが、台風接近を受けて臨時開市することになり、27日朝から収穫を進めた。 作業に当たったJA金沢市梨部会の奥野泰久部会長(59)は「せっかく育てたナシが台風で駄目になるのはつらい。出荷できるものは少しでも多く出したい」と話した。 ●小松で猛暑日 県内は27日、高気圧に覆われ、おおむね晴れた。正午までの最高気温は小松で35・9度の猛暑日を記録し、金沢34・9度、珠洲34・7度など全地点で30度を超えた。 気象庁によると、奄美や西日本から東日本の太平洋側では今後、24時間に300ミリ以上の雨が予想される。土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水・氾濫に厳重な警戒が必要となる。奄美と西日本では、猛烈な風が吹く所がある見込み。 台風は27日午前9時現在、鹿児島県奄美市の東約130キロをゆっくりとした速さで西北西に進んだ。中心気圧は950ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45メートル、最大瞬間風速は60メートルで、中心から半径95キロ以内が風速25メートル以上の暴風域となっている。