《忘年会疲れの人に》症状が出たときは手遅れ…医師おすすめの“肝臓ケア”で年末を乗り切るべし
お酒を飲まない女性も注意、50代以上に増える脂肪肝
肝臓の機能低下=お酒の飲みすぎというイメージが強いが、中高年以降の女性は、お酒を飲まずとも「脂肪肝」のリスクがある。 「実は、女性ホルモンと脂肪肝には深い関わりがあります。女性ホルモンには、皮下脂肪を蓄える一方で、内臓脂肪をつきにくくする作用があります。しかし、閉経を迎えた女性は女性ホルモンが大幅に減るため、内臓に脂肪がつきやすくなってしまうのです。 皮下脂肪は外見に影響しますが、健康リスクが少ない脂肪です。一方内臓脂肪は脂肪肝や糖尿病につながる脂肪でもあります。単純な脂肪肝は深刻な病気ではありませんが、そのまま放置すれば重篤な病につながるため、注意しなければなりません」 脂肪肝が炎症を起こすと「脂肪肝炎」になり、いずれ「肝硬変」に進行する。最悪の場合「肝臓がん」を発症して命を落とすことも。 「個人差はありますが、若いころと同じ食生活や運動量でも、体重が変わっていない人は筋肉が落ちた代わりに、内臓に脂肪がついている可能性があります。その場合は、見た目はやせていても、健康診断で“隠れ肥満”と告げられるケースもありますね」 まさに、百害あって一利なしの“脂肪肝”。予防・改善する方法はあるのだろうか? 「脂肪肝は、食事量の調整と運動の習慣化で解消されます。食事は、糖質を抑えた食生活がベストです。食事でとった糖質は体内でブドウ糖に分解され、血液中に流れます。肝臓は血中のブドウ糖を取り込み『グリコーゲン』という物質に分解して貯蔵。 必要なときにブドウ糖に戻してエネルギーとして使用し、血糖値の上昇を抑えます。しかし、糖質をとりすぎた場合、余ったグリコーゲンは中性脂肪に変えられて血中に放出されたり、肝臓に残ったりするため、脂肪肝の原因になるのでとりすぎはNGです」
12時間のプチ断食で肝臓をいたわる新習慣
肝臓が代謝を行い、血糖値を下げると空腹を感じる。十分な食事をとったにもかかわらず、血糖値低下の空腹感に負けてスイーツや菓子パンを食べると、中性脂肪を増やしてしまうので、なるべく控えたいところ。 「運動量が多い人はエネルギーが必要なので、積極的に糖質をとる必要があります。しかし、デスクワークや運動不足の人が糖質をとると中性脂肪がたまっていく一方なので、自制するのが理想です。 また、お酒は“脂質”に近い飲み物なので、飲みすぎるとアルコール性の脂肪肝を招きます。アルコールの飲みすぎが脂肪肝の原因になっているならば、節酒・禁酒がもっとも効果的な対策です」 また、日頃の運動不足が気になる場合は、1日30分以上のウォーキングがおすすめ。半年ほど続けると成果が表れるという。 「ただ、どの方法も『継続が難しい』と感じる人も多いでしょう。そこでトライしてほしいのが『12時間断食』です。断食といっても週に1日、12時間何も食べずにいるだけ。就寝時間を含めて計算すると、無理なく行える断食法です。 内臓脂肪は、皮下脂肪よりも落ちやすいという特徴があり、12時間の断食でも効率的に肝臓の脂肪が減っていきます。ただし、基礎疾患や肝臓に問題を抱えている人は実施しないでください」 断食中にどうしてもおなかがすいたときに食べるなら「いり大豆などの大豆製品がよい」とのこと。 「大豆には植物性タンパク質と食物繊維が含まれており、噛み応えもあるので空腹を感じにくい食品です。ナッツ類も脂質と食物繊維が豊富なのでおすすめ。ただし、食べすぎると脂質のとりすぎとなるので、5粒ほどにとどめてください」 プチ断食にトライした後は、おかゆやスープなど消化しやすい食事から食べ始めるとなおよし。週に1度、働きすぎた肝臓を“断食”でいたわろう。 「普段の生活の中で、自分の肝機能が低下しているか否かを判断するのは困難です。ただ、今は大丈夫でも、暴飲暴食や運動不足の日々が続けば、将来的に肝臓の代謝や解毒が鈍くなり、さまざまな問題が生じるリスクがあります。健康寿命を延ばすためにも、早めに肝臓を大切にするメリットは大きいですよ」 飲み会シーズンだけでなく、将来を見据えた肝臓ケアを心がけよう。