2024夏ドラマ“見逃したくない作品”5選。「期待度の高い社会派ドラマ」が揃いぶみ
『海のはじまり』
(フジテレビ・月曜午後9時)7月1日スタート 聴覚障がい者と健常者の恋を描いたフジ『silent』(2022年)の脚本を書いた生方久美氏(31)の作品。プロデューサーも村瀬健氏(50)で一緒。今度は7年前に別れた恋人が、知らぬ間に自分の子供を生んでいた男の物語である。 主人公で印刷会社に勤める月岡夏(目黒蓮)は年上の同棲相手・百瀬弥生(有村架純)と幸せに暮らしていた。しかし、1本の電話が人生を変える。 大学時代に交際していた元恋人・南雲水季(古川琴音)の死を電話で知った。葬儀に駆け付けると、水季には海(泉谷星奈)という子供がいたことが分かる。夏の子供だった。 水季は夏と別れる直前、中絶の同意書へのサインを夏に求めてきた。その後、2人で病院へ。夏は中絶したと思い込んでいたが、水季は秘かに出産していた。水季はそのまま大学を去り、夏には一方的に別れを告げた。 行間があり、観る側に考えることを要求する作品。夏は中絶の同意書へのサインを求められたとき、「結婚しよう」「一緒に育てよう」とは口にしなかった。水季の意思を優先するとして、さほど躊躇せず、書面にサインした。それが結果的に水季を失望させ、シングルマザーになる決意をさせたのか。 突然のことに夏が戸惑うのは分かるが、彼に憎悪の目を向けた水季の母親・南雲朱音(大竹しのぶ)の気持ちも痛いほど理解できる。世代や立場によって登場人物に対する思いが異なる作品になるのだろう。 第1回の時点では古川琴音が出色。傍目には強いのだが、本当は脆い人がよく似合っている。
『GO HOME~警視庁身元不明人相談室』
(日本テレビ・土曜午後9時)7月13日スタート メーン脚本家は、TBS『半沢直樹』(2013年、2020年)や同『VIVANT』(2023年)を書いた八津弘幸氏(52)。主演は小芝風花(27)が務める。 タイトルに「警視庁」とあるが、盆百の刑事ドラマではない。かといって荒唐無稽な物語でもない。身元不明人相談室の捜査官・三田桜(小芝)と同じく月本真(大島優子)が、名もなき遺体の身元を突き止め、死の真相も解き明かすという筋書き。 第1回では中学校の理科室に置かれていた人体骨格模型が、本物の人骨だと分かる。鑑定の結果、20代後半から30代の男性のもので、約1年前に死んでいた。調べを進めると、理科担当で標本マニアの教師が、東京・奥多摩の山中から遺体を勝手に持ち出し、薬品を使って白骨化したことが判明する。 教師によると、白骨は自ら崖から飛び降りた男性のものだという。身元も分かった。ところが妻は夫であることを否定し、白骨を引き取ろうとしない。さて、真相はどこにあるのか? 身元不明人相談室の室長・利根川譲治役で吉田鋼太郎(65)、公安部出身の相談室捜査官・堀口尚史役で戸次重幸(50)らが共演。大島も含め、演技派たちが小芝を支える。