「憲法の番人」辞めさせたい最高裁裁判官には✕を 衆院選のもう一つの投票…「国民審査」とは
衆議院選挙に合わせて行われる「国民審査」。 最高裁判所の裁判官が適任かどうかを審査するものですが、ネット上では「◯と✕を書けばいい」「分からなければとりあえず✕で」など様々なことが書かれていて、よく分からないという人も多いかもしれません。そもそも最高裁の裁判官とはどんな人なのか?審査のルールは?今回審査対象となっている6人の裁判官のプロフィルも含めて、詳しく解説します。 【解説・衆院選】政権交代までいくのか? 与党で過半数維持はギリギリの情勢
■法律が違憲ではないかを判断する「憲法の番人」
最高裁判所は、上訴された裁判の審理を行うほか、法律等の内容が憲法に違反していないかを審査するなどの重要な役割を担っており、「憲法の番人」とも呼ばれています。今年7月には、旧優生保護法のもと不妊手術を強制的に行えるとした法律が憲法に違反していたとして、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。 最高裁判所は15人の裁判官によって構成されていて、内閣が指名・任命しています。 任命を受けられるのは「識見の高い、法律の素養のある40歳以上の者」とされ、15人のうち少なくとも10人は、高等裁判所長官、裁判官、検察官、弁護士、法律学の教授または准教授に一定期間就いた人の中から選ばれています。
■裁判官を罷免できるのは3つのケース
裁判官は「良心に従い独立してその職権を行い、憲法及び法律にのみ拘束される」と憲法で定められており、内閣や特定の政治的・社会的な勢力などから圧力や影響を受けることがあってはならないとされています。 独立した存在の裁判官を辞めさせる理由となるのは以下の3つのケースで、その中のひとつが「国民審査」です。 ケース①裁判官の身分にふさわしくない行為や、職務上の義務に違反するなどして、国会議員で構成される裁判官弾劾裁判所によって罷免と判断された場合 ケース②心身の故障のために職務を執ることができないと判断された場合 ケース③国民審査において罷免が過半数を達した場合
■選挙権がある人が投票 今回の対象は6人
任命された裁判官が、最高裁判所の裁判官としてふさわしいかを、私たちが投票という形でチェックするのが「国民審査」です。 国民審査は衆院選に併せて行われることになっていて、18歳以上の選挙権を持つ人が投票できます。 審査の対象となるのは、最高裁判所の裁判官に任命されてから初めて衆院選を迎える裁判官と、最初の審査を受けてから10年を経過した裁判官で、今回は15人中6人が対象です。