約2.7兆円「世界最大のスシ市場」のアメリカで攻勢 「寿司とインド」が商社・双日のリテール事業を左右する
流通網からインドを攻略していく背景には、ベトナムでの成功体験がある。 ■狙うは「成長ストーリー」の再現 双日はスーパーからホテルまで4万社以上の取引先を持つベトナムの食品卸会社フン・トゥイ社を2012年に子会社化した。2016年には食品卸大手の国分グループ本社と合弁で、常温から冷凍まで4温度帯で製品を保管できる倉庫事業を始めた。この倉庫はフン社も利用する。2023年には業務用食品卸会社も買収している。
食品卸事業を拡大する過程で、双日は小売りビジネスへの進出チャンスをつかむ。イオン傘下のミニストップと現地でコンビニ事業を展開、業務用冷凍食品の日東ベストと合弁で総菜の製造販売にも手を広げている。 今年に入ってからは、小売店のオンライン受発注システムやキャッシュレス決済アプリなどを開発する現地企業に出資し、流通網をデジタルで連携させる事業にも着手している。 「ベトナムでは供給網が完全につながってきた。この成長ストーリーをインドで再現させたい」。村井本部長は力を込める。
リテール・コンシューマーサービス部門の2023年度の純利益は131億円。双日が「ネクストステージ」とする2030年頃には300億円まで利益を拡大させる計画だ。「アメリカの寿司」と「インドの流通」の成否が計画達成をも左右する。
森 創一郎 :東洋経済 記者