浜松市役所

　浜松市の中野祐介市長は25日の市議会9月定例会本会議で、事業の収支悪化に伴って見直しの議論を進めている水道料金について、2025年秋に改定する方針を明らかにした。改定時期が示されたのは初めて。現時点で平均改定率は20％程度の値上げを見込み、25年の市議会2月定例会に条例改正案を提出する予定。須藤京子氏（自民党浜松）の代表質問に答えた。 　平均改定率は水道施設の耐震化や老朽管の更新、建設改良費の増加を踏まえ、今後5年間の事業運営に必要な資金を確保できる水準として設定した。公正、妥当な料金体系となるよう今後、基本料金と従量料金との比率などについて検討を進めるという。 　家庭向け水道料金に関して、市は合理化などを重ねて1996年1月以降、30年近くにわたって増額改定を行っていない。現在の市内一般的家庭で20立方メートル（13ミリ口径）の水を使用した際の月額料金は2156円で、県西部8市町で最も安い水準になっている。 　ただ、電気料金の高騰や老朽施設の更新費が運営を圧迫し、水道事業会計は22年度決算で27年ぶりの純損失を計上、23年度決算も2年連続で赤字となった。市の試算では値上げをしない場合は26年度には資金不足となり、企業の倒産相当の状態に陥る見通しが示されている。 　能登半島地震では水道施設が甚大な被害を受けて断水が長期化し、水道施設の耐震化は全国的な課題にもなっている。中野市長は「水道は市民生活や企業活動を支える社会インフラ。安全・安心な水を安定的に供給する責務を踏まえ、料金改定やむなしと判断した」と述べた。 　市は料金の見直しに向けて23年度に有識者や利用者代表の市民を交えた「経営アドバイザー会議」を設置して議論を進めていた。