プロ野球、春季キャンプからオープン戦への流れはこうなっている。
「相撲部屋」みたいだった昭和のキャンプイン
昭和の昔は、11月、1月の「オフシーズン」に、思い切り羽を伸ばす選手がたくさんいた。 筆者が話を聞いたあるスター選手は11月に家族で、ヨーロッパに旅立って各地を見物すると、年末年始はハワイで過ごし、帰国すると今度は中国、韓国でグルメ旅行、1月31日に日本に帰ってきます、と言った。「子どもさんは、どうするんですか」と聞くと「もちろん学校は休ませます」とのことだった。 また、ゴルフ三昧の選手もいた。お酒が好きな選手は「毎日宴会です」と言った。 そして2月1日にキャンプインするときには、ウェストは前年より10㎝も大きくなって、はち切れるような体で姿を現わしたりした。記者から「〇〇部屋」と揶揄されることも多かった。ベテランが多いが、そういう選手はキャンプの前半は「体を絞る」ことに専念する。 ランニングから入って「酒の気を抜き」、中盤になってようやく投手はブルペンに立ち、野手は紅白戦に出たものだ。
オフの間に体を仕上げるのが「今の当たり前」
しかしそれは「昔話」になっている。 今のトップ選手には「コーチや監督に言われて練習をする」ようなレベルの低い選手はほとんどいない。オフの間も自分自身でテーマを持ち、独自にトレーニングをしている。「来季に向けて新しい変化球を2つ習得する」とか「ヘッドスピードを上げる」とか、独自のテーマを掲げて、そのためのトレーニングをしている。 今、日本には先進の計測機器を整備したトレーニング施設がいくつかできているが、そうした施設はプロ野球選手の予約でいっぱいになっている。そういう施設で「モーションキャプチャー」などの機器で自分のパフォーマンスを計測し、アナリストからバイオメカニクス(生体工学)的なアドバイスを受けて、フォームを改造したり、練習メニューを作ったりする選手もいる。 今の春季キャンプのキャンプインの時に、多くの選手は完全に「臨戦態勢」になっていると言ってよい。 だから、今のプロ野球の春季キャンプは「どんどんスケジュールが早くなっている」。 昔はキャンプの初旬はランニングやウォームアップ、基礎練習などが中心だったが、今は初日からブルペンで投球練習をする投手もいる。 このところ日本ハムはキャンプ初日に紅白戦をして話題になっているが、どの球団も「やればできる」状態になりつつある。