中国・上海に世界最大の屋内スキー場オープン
【東方新報】外気温は摂氏35度を超えているが、上海市のあるリゾート施設では室内が摂氏マイナス10度に保たれている。 中国(上海)自由貿易試験区臨港新区に建設された「上海L+スノー室内スキーテーマ・リゾート」がその別世界の場所だ。 このリゾートは、6日に正式オープンしたばかりで、9万平方メートルを超える世界最大の本物の雪を使った屋内スキー場「スノーワールド」を擁している。 リゾート全体の建築面積はほぼ35万平方メートルで、食事、宿泊、エンターテインメント設備、ショッピング、レジャー施設が一体となっている。その中の「スノーワールド」では、雪をテーマにしたおよそ20のエンターテイメントが楽しめる。 「施設全体が現実離れした感じで、いったいどのくらい大きいのかなと思いました。事前の予想をはるかに超えた規模でした。あそこで過ごした時間が忘れられません。ぜひまた行きたいです。特にスノーボードはエキサイティングで、本当に楽しかった」、温暖なカリブ海地方から来たスノーボーダーの男性は「スノーワールド」をこのように評価している。 スキー場は全長340メートル、斜度26度の上級ゲレンデを含む4つの難易度のゲレンデがある。さらに、初心者用のゲレンデもあり、コーチングコースやティーチングコースもある。 リゾートのデザインディレクターの話によると、伝統的なスキー場は、平坦で広大なエリアに、スタート地点、スロープ、バッファセクションを設けるのが普通だが、「臨港新区」は面積に限りがあるため、ここでは垂直方向を活用した3層のスキースロープと山に似たレクリエーション・エリアを積み重ねた構造にしたという。 さらに、このリゾートには、氷と雪をテーマにした3つのホテルがあり、客室数は1000室近くあり、その中には、客室から直接ゲレンデに出ることができる画期的な「スキーイン・スキーアウト」スイートルームが17室用意されている。 また「スノーワールド」の先には、約2万平方メートルにおよぶ「ウォーターワールド」が建設中で、屋内セクションは今年オープン、屋外セクションは来年夏にオープンの予定だ。そこでは20種類の水上アクティビティが楽しめる設定になっているという。 このリゾートでは誰かががビキニを着て歩いている時に、スキーのダウンジャケットを着た人を見かけることが起きるかも知れない。 2022年に開催された北京冬季オリンピックを契機に、近年中国では「氷雪産業」が急成長した。上海市の「第14次5カ年計画期間(2021~25年)」における重要な観光プロジェクトとして、このリゾートは同市の氷雪観光の空白を埋めるもので、市の新たなランドマーク事業になることが期待されている。 リゾートの責任者は「観光客からのフィードバックを注意深く検討し、施設やイベント企画を継続的に向上させます。上海市民に氷と雪の体験を提供するだけでなく、国内外からの熱狂的なファンを迎え入れる施設を目指します」と抱負を語った。 世界最大の屋内スキーリゾートを運営するだけでなく、「臨港新区」は5年前にオープンして以来、人気の観光スポットや文化施設、スポーツ施設が続々とグレードアップされ、上海市の「ヤングプレイス」として、訪れる内外の観光客の数が増えているという。 上海市文化・旅游局によると、「臨港新区」の観光産業は昨年、前年比136パーセント増の18億8000万元(約377億5040万円)を売り上げ、観光客数は987万人に達した。 スキー場単体であれば、観光客は数時間滞在するだけかも知れないが、近隣の「上海海昌海洋公園(Shanghai Haichang Ocean Park)」や「上海ディズニーランド(Shanghai Disneyland)」が加わることで、クラスター効果が生まれ、長期滞在を促し、地元の観光経済の発展が期待できる。 ちなみに、このリゾートには、道具などの貸し出しサービスが付いたウイークデイ、ピークデイ、スペシャルピークデイの1日パスがあり、公式アプリや、携程(Trip.com)、美団(Meituan)、抖音(Douyin)などさまざまなプラットフォームで購入できるとのことだ。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。