生活保護は“好都合”? 診療報酬で不正に稼ぐ「在宅医療」クリニックの驚愕の実態
自宅で必要な医療を受けられる訪問診療のニーズが高まっている。何かと良いイメージで語られることが多い一方で、「良い先生」がいれば「悪い先生」もいるのは、在宅医療の世界も例外ではないようだ。自宅という閉鎖空間であるがゆえに、診療報酬を不正に請求する“金儲け医師”が後を絶たないのだという――。 【写真を見る】年齢別「日本人の三大死因」 心疾患予防のため控えるべき“3つの白い粉”とは ***
病気や加齢などによって通院するのが困難になった患者が、自宅で医療を受けられる在宅医療。その社会的ニーズも、サービスを提供する診療所も大幅な増加傾向にあり、今や在宅患者は100万人、在宅医療の診療報酬は月1000億円にのぼるとも報じられている。「優しい先生が自宅まで診察に来てくれて安心」「親を自宅で穏やかに看取ることができました」などと、何かと良いイメージをお持ちの方も多いのではないだろうか。 しかし、自宅という閉ざされた空間が舞台であるがゆえに、実際にどのような医療が行われているのかが一般には見えづらい世界でもある。だからこそ、在宅医療を“儲かるビジネス”として利用する医師が後を絶たないのだという。 現役の在宅医からはこんな声があがる。 「たとえば、定期訪問は月に1回でも十分なくらい病状が安定している患者さんに対しても、『2週に1回がルールなので』とクリニック側が指定したり、あるいはそれ以上の頻度の往診を求めてくることもあります。訪問回数が増えれば、費用負担もそれに応じて高くなりますから、患者さんの不利益は大きい」 「『在がん(在宅がん医療総合診療料)の診断付けておくね。そうすればもっとたくさん診に来られるから』なんて言って、実態と異なる、保険点数の高い診断が付けられていた患者さんを目にしたことがあります。また、ご家族が後で明細を見てみたら、見知らぬ項目があったという話も珍しくないですね」
「お看取り」や末期がんの算定を利用して……
専門知識を持つ医師と患者との間には大きな情報格差がある。閉鎖的な空間で行われるサービスだからこそ、患者の多くは「医師に言われるがまま」。悪事を働く医師がいても、表に出づらい実情があるのだ。 「やっかいなのは、公的保険によって患者側の負担には上限があり、まして生活保護受給者の場合は、自己負担が発生しない場合があるという点です。こうした“好都合”によって、患者側の金銭負担が増えないようにしながら、国からより多くの報酬を得ようという動きが出てくるのです」(都内の在宅医) 中には、保険点数が特に高く、クリニックへの報酬が大きい「お看取り」や末期がんの算定を不適切に利用して儲けようとする医師までいるという。 「違法行為が問題なのは言うまでもありませんが、そもそも倫理観が欠如している医療従事者に、患者ファーストのサービスが提供できているとは到底思えません。何より、真面目にやっているクリニックが馬鹿を見るようなことがあってはならないと思うのです」(同) 有料記事【「利益最優先」「技量不足」「話を聞かない」… 美談の裏は“落とし穴”だらけ 選んではいけない「在宅医療クリニック」7つの特徴】では、こうした“要注意クリニック”の実態、そして良い在宅医と巡り合うためのポイントなどについて、「チェックリスト」などを交えながら詳しく紹介している。 デイリー新潮編集部
新潮社