日本郵政が赤字400億円 長門社長「負の遺産を一掃」と強調
日本郵政は25日、2017年3月期の業績予想について、のれん代など合わせて4003億円の特別損失を計上すると発表した。通期連結の当期純利益見通しもマイナス400億円に見直す。会見した長門正貢社長は「大きな損失を招き、重く受け止めている」と述べたものの、「最大限の減損金額を早期に計上し、攻める経営のスタートラインに立つ」と強調した。 【中継録画】日本郵政が「赤字転落」 長門社長が会見
豪州経済リスク見通しの甘さ「否定できない」
当初の業績予想では3200万円の黒字と見込んでおり、大きく下方修正した。純損益の赤字は民営化以降で初めてとなる。減損計上の原因となったのは、2015年に買収したオーストラリアの物流会社「トール社」の業績不振。豪州の鉱山地区で成長率が悪化するなど豪州での物流事業の落ち込みが影響した。 トール社の買収価格は約6200億円。長門社長は「そもそも最初の価格が高かった」との認識を示し、「買収意思決定の過程で豪州経済のリスクの見方が甘かったとの批判があるが、結果からすると否定するのは難しい」と認めた。 ただ「日本だけでやっているのでは成長が壁に当たる。さらなる成長のためには海外を目指さざるを得ない」「国際物流戦略に一石を投じた。狙いは正しかった」と述べ、買収した判断自体は間違っていなかったとした。トール社をグローバル化の中核と位置づける方針は変わらないといい、将来的なM&Aも国内外問わず検討していく方針を示した。 今回の減損計上は「監査法人から嫌がるわれわれにやれと言われたわけではない」と説明。「緩慢な経営に終止するのではなく」とも言及し、「負の遺産を根本から一掃し、成長路線に戻れるよう精進する」と今後の経営展望を語った。 同社は5月15日に2017年3月期の期末決算を発表する予定。