『放課後カルテ』松下洸平はなぜ無愛想なのに優しい? 医師としての“距離感”が生む親しみ
牧野(松下洸平)が他人から一線を引くようになった理由
牧野が一線を引くようになった理由が描かれる第5話。牧野の小児科医時代の患者の父親役として塚本高史、母親役として大沢あかねが出演する。塚本高史が演じる役柄は、第1話の冒頭にも登場しており、牧野に「誤診じゃないのか?」と投げかけている。第3話で、冴島啓(岡本望来)と直明(土屋陽翔)の母親・環(ソニン)の苦しみが描かれたように、親が子供を見守る目線と、小児科医が子供を見る目線はもちろん違う。我が子に何かあったらどうしようという大きすぎる不安が、誰かを責めるエネルギーに変わってしまうこともあるだろう。そんな親が子を想う強い感情に触れて、牧野は、自分は踏み込みすぎてはいけない人間だと、立場をわきまえねばと、一線を引くようになってしまったのかもしれない。 ただ、牧野は羽菜のために一歩踏み出すことができた。牧野が羽菜の心の扉を開けることは、牧野自身が過去の後悔にけじめをつけ、自分自身を救うことになるはずだ。羽菜との関わりを経て自分に許しを与え、“養護教諭”として子供たちに接する牧野に早く会いたい。
古澤椋子