トランプ氏とバイデン氏、ファーストネームで呼び合う…ホワイトハウスで「礼儀正しく」会談
【ワシントン=池田慶太】米共和党のトランプ次期大統領は13日、民主党のバイデン大統領とホワイトハウスで会談し、円滑な政権移行に向けた協力を確認した。トランプ氏がホワイトハウスを訪れるのは2021年1月の退任以来約4年ぶり。新政権の人事では、国務長官にマルコ・ルビオ上院議員(53)、司法長官にマット・ゲイツ下院議員(42)を指名すると発表した。
大統領執務室での会談冒頭、トランプ、バイデン両氏は握手を交わし、バイデン氏は「円滑な政権移行を楽しみにしている。お帰りなさい」と述べた。トランプ氏は「スムーズな政権移行に感謝する」と応じた。互いにファーストネームで呼び合う中、会談は約2時間続いた。
2人はロシアのウクライナ侵略や中東情勢を含む国内外の課題についても意見を交わした。ホワイトハウスによると、バイデン氏は「米国が継続的にウクライナを支持することは国家安全保障上の利益だ」と述べた。「米国第一」を掲げるトランプ氏は支援予算を国内に回すべきだと主張している。
会談にはバイデン氏の大統領首席補佐官と、トランプ氏が次期大統領首席補佐官に指名したスーザン・ワイルズ氏が同席した。トランプ氏は会談後、ニューヨーク・ポスト紙に対し、「よい会談ができた。(政権移行は)非常に順調に進んでいる」と述べた。カリーヌ・ジャンピエール大統領報道官も記者会見で「心のこもった、礼儀正しく、内容の濃い会談だった」と語った。
対面の大統領引き継ぎは長年の慣例だが、20年はトランプ氏が選挙での敗北を認めず、バイデン氏との会談は実現しなかった。バイデン氏は今回、民主主義の根幹である選挙結果に基づく平和的な権力移譲に向けて自ら模範を示す考えとみられる。
次期政権で外交の司令塔となる国務長官に指名されたルビオ氏は、中国やイランに対する強硬派で知られる。両親がキューバ人の移民2世で、ヒスパニック系が国務長官に就けば初めて。今回の大統領選ではトランプ氏を支持し、一時は副大統領候補として取りざたされた。
司法長官に指名されたゲイツ氏は、トランプ氏に忠誠を誓う保守強硬派議員の一人。性的人身売買の疑いで司法省の捜査対象となったことがあり、共和党の一部には起用を疑問視する声も出ている。トランプ氏は13日、トゥルシー・ギャバード元下院議員(43)を国家情報長官に指名する人事も発表した。