ソフトバンクの1位指名は誰に? 24日ドラフトで競合必至の154キロ即戦力左腕を〝実戦最終視察〟も…将来性重視の逸材獲得プランも浮上
今月24日のドラフト会議を前に、ソフトバンクが最速154キロの即戦力候補左腕、関大・金丸夢斗投手(21)の〝実戦最終視察〟を行った。 ■即戦力左腕・金丸とは? 奪三振シーンはこちら【動画】 14日の関西学生リーグ・関学大3回戦(大阪・南港中央)が、大学最後のリーグ戦登板となる可能性があったため、阪神、オリックスの地元勢が複数のスカウトを派遣するなど、NPB5球団が視察。ソフトバンクも関西地区担当の稲嶺誉スカウトが足を運んだ。 金丸は今春のリーグ戦中に腰の骨挫傷を発症、今後をにらみ、今秋のリーグ戦は「悪化させてはいけないというのが一番」と関大・小田洋一監督と話し合った上、全てリリーフ登板が続いており、この日も5―5の同点で迎えた9回から登板。稲嶺スカウトが測定したスピードガンでは最速146キロも、2イニングを無安打1四球、2奪三振、外野には打球を運ばれることもない、危なげない内容を見せ、今秋は9試合、計14回連続無失点。昨秋から続くリーグ戦での自責点ゼロは「71回」にまで伸びた。 「最後の試合になるかもしれなかったですから、最後くらい、何かが起こるかも…って思ったりもしたんですよ、点を取られるとかね。でも、そういうことも起こりませんでしたね。そんなに調子はよくないんでしょうけど、普段とおりにストライクも取れていましたしね。さすがです」と稲嶺スカウト。関学大が勝てばリーグ優勝が決まるという一戦。さすがに目の前で胴上げは見たくないと、金丸自身も「チームが一生懸命粘った」と〝胴上げ阻止〟を誓っての力投。金丸を含めた4人の継投で関大は延長12回をしのぎ、5―5の引き分け。関学大の優勝はお預けとなったが、カードの通算成績が1勝1敗1分けとなり、2勝で勝ち点となる同リーグのため、今月22日に異例の第4戦が設定されることになった。この日の登板が「これで最後か、と思いながら投げていました」という金丸も、大学生活ラストマウンドの〝延期〟には「想定外のことが起きてしまいました」と苦笑いだ。 ところで、今年3月には「侍ジャパン」にも選出されたこの左腕を巡り、ドラフトを目前に控え、球団間での駆け引きも激しくなっている。ソフトバンクの金丸評は、昨年1位指名しながら、抽選で外れた国学院大の左腕・武内夏暉(現西武)より「球種が豊富で、コントロールでは金丸君の方が上かも」と永井智浩スカウト部部長。ルーキーイヤーの今季に10勝をマークした武内と〝同等〟の即戦力という位置づけで、徹底マークを続けてきた。学生としての最終戦になるはずだったこの日も、担当の稲嶺スカウトが視察したことが、その熱意の表れでもある。 今年のドラフトは大学生に逸材がそろっているといわれ、明大の宗山塁内野手、愛工大の右腕・中村優斗投手、青山学院大の西川史礁外野手に金丸を含めた4人の大学生は今年3月の侍ジャパンに選出された。宗山は既に広島が1位指名の方針を公表するなど、この4人の競合は避けられない情勢。ソフトバンクにとって、ここが最大の悩みのタネになってくる。 金丸には、既に中日(セ6位)、ヤクルト(セ5位)の下位球団が指名に意欲を見せている。さらにこの日視察した阪神(セ2位)、オリックス(パ5位)やソフトバンクが金丸の指名に乗り出せば、4~5球団での1位競合は避けられない。優勝したソフトバンクはくじを引く順番も遅く、残り福に期待せざるを得ない流れでもある上に「外れ1位」の指名でも有力な高校生投手で再び競合する可能性も高い。またウエーバー順となる2位指名で、ソフトバンクの指名順位は23番目、3位指名も26番目。そこで、リストアップ上位の逸材を確実に獲得するための「プランB」として浮上してきたのが、1位指名での「高校生の一本釣り」だという。 つまり、金丸らの競合必至の大学生を避け、外れ1位でも競合しそうな「将来性重視」の逸材を、他球団に先駆けて1位入札、確保する戦略だ。そこでソフトバンクはドラフト直前まで他球団の出方を注視する考えで、指名方針の最終決定まで「最後の最後まで悩むと思います」と稲嶺スカウト。他球団との駆け引きという側面から、ドラフト会議前の「1位指名公表」も行わない可能性もあるという。金丸の、今度こそ〝学生最後の登板〟となりそうな22日は、ドラフト会議2日前。「ここまで来たら次戦もゼロで抑えて大学生活を終えたい」という金丸の〝有終の美〟とともに、ソフトバンクの最終方針にも、注目が集まりそうだ。 【#OTTOホークス情報】
西日本新聞社