【ラグビー】プロになる「一丁目一番地」。本質重視の新機軸育成キャンプに潜入。
本質は伝わるのだろう。参加した面々は、トレーニングから引き上げるたびに「終わるのが早く感じた」「もっとやりたいな」と思っていたという。 プロのラグビー選手を目指す小中学生を対象にした育成プロジェクトの「アルゴススポーツアカデミー」が第2回キャンプを8月19日からの4日間、福岡県内でおこない、九州地区などから計34名の小、中学生を集めた。 グラウンドでは休みなく実戦形式の攻防を繰り広げた。スペースを探してキック、長短のパスを配し、受け手もそれに呼応する。 それぞれ、自在に球を展開する楽しさ、難しさを発見していた。 「ボールを動かすと、(トライが)獲れた時は嬉しいけど、獲れなかった時は相当、悔しい。『もっと、あそこでああしたら獲れたな』ということも思いました」 一定の型を繰り返したり、ひたすら走り続けたりするのとは一線を画した内容。小学生選手のひとりはこう実感した。 「(事前に)きついと聞いていたけど、意外ときつくなかった。でも、筋肉痛にはなっているから『きている(負荷がかかっている)』んだろうな」 グラウンドで仕切ったのは銘苅信吾。かつて早大で教え、現在はおもに沖縄のデイゴラグビースクールを指導する青年コーチだ。育成年代へのコーチングで理想に掲げるのは、「全員が田村優、堀江翔太になったら」。日本を代表するスキルフルな選手の引き合いに出し、自ら局面を打開する技術、判断力を身につけて欲しいと考える。 セッションでは、タックルされながら球を繋ぐオフロードパスを推奨している。 今回、プレーしたなかには、所属先でオフロードパスが禁止されている人もいたようだ。せっかくキャンプで教えた競技の肝を皆が忘れないよう、オンライン上のサービスなどを展開できたらとスタッフは考える。 本物を伝授するのは芝の外でも然りだ。 グラウンドの脇には、氷を使わない循環型のアイスバスを設置。炎天下でのセッションを終えた少年少女は、はしゃぎながら約10度の水に浸かる。装置を導入したクライオコントロールジャパン株式会社の関係者は、「早いうちからリカバリーの重要性を知ってくれたら」と笑う。 食事の時間は、管理栄養士の金子香織さんが各テーブルを回る。ビュッフェ形式の会場では、それぞれに白米をよそって計量するよう伝えた。座学で伝えた栄養の知識に基づき、各自が何をどれだけ口にすべきかについて考えるよう促した。