名古屋市が保育士ら1200人を雇い止め 市長は責任放棄か
市当局は“ゼロ回答”
総務省の通知を受けて今年度、更新の上限を撤廃する自治体も出てきている。しかし名古屋市当局は組合側から7月22日に出された要望書「会計年度任用職員の5年目公募を中止してください」には答えず、組合側から重ねて出された9月27日「緊急の要求書」を受けて10月3日にやっと回答を出したが、その内容は「会計年度任用職員の取り扱いは、全庁的に統一された制度であるため、困難です」と、いわゆるゼロ回答だ。そして河村たかし市長は今月1日、27日に投開票となる衆議院議員選挙への出馬を表明した。任命権者としての責任を放り出す行ないである。 尾崎さんはすでに一度、市立保育園での雇い止めを経験している。勤務していた園が隣の園と統合されたため非正規職員は全員雇い止めになった。働き続けるには試験を受ける必要があると言われて「保育者としての人生を不合格で終わらせるのは嫌だと思い」試験を受けて合格。「5年目でなくても雇い止めは起きています。後に続く若い方たちにこんな思いをさせたくない」と唇を噛みしめる。 各地で上限撤廃の動きが出る中での名古屋市の姿勢は「逆の流れを作ってしまう恐れがある」と川村教授は語る。あえて公募を行なうことは地方公務員法第一条にある「地方公共団体の行政の民主的かつ能率的な運営」に反する無駄な行政コストの拡大でもある。制度導入5年目の今、この問題に自治体がどう向き合うかが問われている。