「オンライン」にすれば、世界中の「悪人」がやってくる、IT・AI時代の我々の資産の安全性を考える
ネットでは犯罪も「国際標準」
読者もクレジットカードを始めとする、オンライン決済の安全性が浸食されていることを肌感覚で実感されているのではないだろうか? 実際、不正検知ラボ 2024年3月29日「【2024年最新】クレジットカードの不正利用被害は過去最高額! クレカ不正の発生状況と被害額まとめ」で伝えられる通りだ。 【写真】日本のネットは世界の犯罪者とつながっている、特にクレジットカードは 日本クレジット協会によると、2023年1月~12月までのクレジットカード不正利用被害額は、過去最高の540.9億円である。2022年1月~12月までのクレジットカード不正利用被害額は436.7億円であったので、前年よりも約24%(約104億円)もの増加だ。 クレジットカード市場の規模は、Web担当者Forum「クレジットカードの市場規模、2022年度は約89兆円まで拡大。2028年度には約158兆円に達するか【矢野経研調べ】」と巨大である。 矢野経済研究所 2月2日「クレジットカード市場に関する調査を実施(2023年)」によれば、2023年度(見込み)の市場規模は約99兆円であるから、約540億円の被害額はそれに対して約0.054%である。全体に対しては少なく見えるかもしれない。 だが、日本経済新聞 4月3日「クレカ不正利用率最悪、被害額10年で5倍 官民で監視へ」の「10年で5倍」のペースというスピードはすさまじい。単純計算で10年後に約2700億円、さらに10年後には約1兆3500億円の被害が発生するということだ。 クレジットカードを利用する側の我々も、この事実には無関心ではいられない。 もちろん、日本の「治安の良さ」は世界有数であり、クレジットカード分野でも我々はその恩恵を受けてきた。 実際、昨年8月26日公開「日本のネットは世界の犯罪者とつながっている、特にクレジットカードは狙われている」冒頭「日本は自由で安全だが、海外はそうではない」で述べたように、殺人発生比率が日本の30倍もある米国では、同記事3ページ目「世界中の犯罪者が狙う日本のクレジットカード」で触れたように、カード犯罪においても「先進国」である(幸いにして、日本はカード犯罪における「発展途上国」である)。 事実、読者の多くがカード情報を盗むための「フィッシィングメール」を目にするであろうが、その中には「日本語がおかしい」メールが多々ある。 初期のように明らかに「日本語がわからない人々」によって送付されたメールは減りつつあるが、今でも「日本人ならあり得ない間違いを犯している」メールや「微妙に表現がおかしい」メールは散見される。 これは、「フィッシィングメール」を始めとするカード犯罪の多くが「海外からの侵略」であることの証明といえよう。 物理的に海を隔てた日本の「現実世界の治安」は、2月5日公開「無断で自宅に侵入する人々を許すべきか、テキサス州国境問題は他人事ではない」に関する対応を間違えなければこれからも維持されるであろう。 だが、ネットの世界には良くも悪くも国境が無い。「治安が良い国に住み、犯罪に不慣れな日本人」が、海外に出かけなくても国内で「海外を中心とする犯罪者の餌食」になるという恐ろしい時代がやってきている。 インターネットを始め、グローバル化によって世界が繋がったが、それは犯罪者が容易に日本に侵入できるようになったということも意味している。