フランス左派連合、マクロン改革撤回と反EU的な財政緩和を公約
(ブルームバーグ): フランス総選挙に向けて結束した左派系政党の連合が選挙公約を発表した。マクロン大統領が7年間で実施した経済改革の大半を巻き戻し、財政政策を巡り欧州連合(EU)との衝突が避けられない内容だ。
左派連合は政府の年金改革を白紙撤回し、60歳定年制を復活させるとともに最低賃金を引き上げ、一定の業界企業の利益に追加的な税を課すことを目指す。同連合の指導部が14日記者団に語った。
フランス社会党のフォール党首は「余裕のある資産を持つ者のポケットから資金を集め、この野心的なプロジェクトの全てをわれわれは賄う」と語った。
政治的な不透明性と、次期政府が公的財政に負担の大きい政策を推進する可能性の高いことが、投資家を不安にさせている。14日の欧州債市場でフランス債はドイツ債に対して5日連続でアンダーパフォームし、10年債スプレッドは週間で過去最大の拡大幅を記録した。
ルメール経済・財務相は同日、左派連合が総選挙で勝利すれば経済の崩壊とEU離脱を招くと警告した。
フランス、総選挙で左派勝利ならEU離脱も-ルメール財務相が警告
左派連合の当局者はルメール氏の主張を否定。マクロン氏が実施した富裕層やキャピタルゲインへの減税こそが、財政赤字を拡大させたと論じた。
オランド前大統領が所属した社会党から共産党、急進左派のジャンリュック・メランション氏が率いる「不屈のフランス」までが集まる左派連合は、マリーヌ・ルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)に次ぐ議会第2の勢力になる可能性があることを、世論調査は示している。
左派連合が総選挙で勝利すれば、首相は4党の中から指名されることになる。過激なメランション氏が首相に指名されるのかとの問いに、同氏所属政党の調整役を務めるマニュエル・ボンパール氏は、決定はされていないと指摘。
「総選挙で勝ち、政権を取ることができれば、最大の議席をとった政党が提案を行うことで合意している」と同氏は説明した。