台湾総統府、初の「机上演習」実施 中国の軍事的エスカレーション想定
台北(CNN) 台湾総統府が26日、中国による軍事的エスカレーションを想定した初の「机上演習」を実施したことが分かった。軍以外の政府機関が参加するこの種の演習は初めてで、強硬さを増す中国政府への即応態勢を確保しようとする台湾政府の切迫感を浮き彫りにしている。 【画像】中国軍が進水した次世代強襲揚陸艦「076型」 台湾の頼清徳(ライチントー)総統が同日夜に明らかにしたところによると、演習には中央政府や地方自治体の部局、民間団体が参加した。台湾海峡の緊張がさらに激化した場合に備え、様々なシナリオへの政府の対応を試験する狙いがある。 頼氏は「極端なシナリオに対する各政府機関の即応レベルを検証する目的で、机上演習を実施した」と説明。「政府と社会が備えをしている限り、自然災害や権威主義的拡張を含む様々な脅威に適切に対応できると信じる」と表明した。 中国共産党は台湾を支配したことは一度も無いものの、自国の領土と位置づけており、武力による奪取も排除していない。 台湾近海を移動する中国海軍や海警局の艦船が増え、台湾島周辺での中国機の活動も増加する中、台湾はここ数カ月、台湾海峡や西太平洋で中国軍の活動が活発化する状況を目の当たりにしている。 台湾国防部(国防省)によると、今月には中国は台湾近海や台湾海峡周辺で、ここ数十年で最大規模となる艦隊を海上展開した。 中国はまた、台湾を包囲する大型軍事演習を2度にわたり実施。1度目は5月に行われた頼氏の就任式、2度目は10月に行われた中華民国国慶日の演説に反応した。 頼氏と与党・民進党は中国政府の領土的な主張を繰り返し拒絶。民主主義の島である台湾は中国に「従属しておらず」、台湾の未来を決めるのは2350万人の住民だけだと強調している。 台湾総統府によると、軍による従来の図上演習とは異なり、今回の机上演習には様々な政府機関が有事に「いかにして平時の社会の活動を確保」できるかを試す狙いがある。 演習では二つのシナリオを想定。一つ目は中国が「高強度」のグレーゾーン戦術を展開する場合、二つ目は台湾が「紛争間際」にある場合を想定しているという。グレーゾーン戦術とは、戦争行為とみなされ得る水準すれすれの行動を指す。