リーダーは東大卒 空中を歩く“鉄棒ダンスユニット”の目指す場所…日テレ特番で強烈インパクト
鉄棒のキューブもパフォーマンスの重要な要素だ。『M七八』のラストでは、キューブを45度傾ける演出で、「固定されたキューブの中で踊る」という先入観を覆した。 上西「スライドさせて横方向に回すことはやったことがあり、より3D的な動きを考えて、傾ける方法も数年前から思いついてはいました。ただ、どう取り入れるかピンとくるものがなかったのですが、今回は『M七八』でやっとやることができました。『M七八』を作る時も、最初はキューブの周囲を走りながら回してみたりしていました。走るのは最終的に無しになりましたが(笑)」 RYO「最初の3日間くらい、俺と虎君はずっと走り回っていました(笑)。人が鉄棒にぶら下がっている状態でどれだけ速くキューブを回せるか試したり」 上西「キューブ自体もパフォーマンスに合わせていろいろと工夫をしています。以前はキューブの四隅に20キロずつ、計80キロの重りを乗せていましたが、踊っている時に自分たちが重りになれば良いと気付きました。それからはキューブをなるべくシンプルにして、誰がどう動けば重りになるかも考えながら構成を作っています」 RYO「基本的には全体のイメージをジョニ(上西)さんが作って、それを練習しながら詰めていく。作り直しは多い印象で、練習の後半になった頃には全く変わることもよくあります」 上西「『できそう』と直感的に感じることは『大体できる』と思っているので、結果的にはクリアしています。これまでの経験値やメンバーのポテンシャルも知っているから、無意識レベルでできると判断しているんだと思います」
勝ちパターンを作らずに「このチームで世界に」
グループとして、個人としてのビジョンを聞くと、それぞれが熱く語った。 魚地「ブレイクダンスでもAFWの活動の中でも『女なのにすごい』と言われることがあるけれど、そう言われないようにしたいです。『女として』ではなく、表現者として“本物の魚地菜緒”になりたいです」 古賀「自分はパフォーマンスをすることを始めたばかりなので、ちょっと歩くだけとか、何でもない部分の動きが決められていないし、振る舞いや顔つきがやっぱり違う。『振り付けができる、できない』じゃない部分の基礎や表現を身につけたいです」 RYO「僕はヒップホップやストリート系のダンスをやってきて、短所を見えないくらいに長所を見せるコツを持っています。でも、AFWでは4人しかいないので、長所だけをやる訳にはいかない。パワーを使う部分はまだ苦手で、毎回課題に直面します。だけど、その短所を一つひとつ消していって、AFWのパフォーマンスに淀みなく入って、質を底上げできるようにしたいです。あとは世界中でショーをしたいです。ダンスは非言語の表現なので、どの国の人にも伝わるパワーを持っている。このチームで世界にどんどん出ていきたいです」 上西「グループとしては作りたいものを作っていく。変にAIRFOOTWORKSの勝ちパターンを作りたくないです。『THE DANCE DAY』では、直接的に感動を与えにいくような表現を目指した訳ではないのに結果、『感動した』と言ってくれる人がたくさんいた。『見た人が自分の経験を作品に投影したり、感情移入したりして混ざり合う』。それが身体表現(非言語)の力だと思うので、それを追求したいです。そのためには、自分たちが本気で向き合っているものをぶつけないといけない。だからこそ、表現の幅をダンスに限定しないで、これだけバックグラウンドが違うメンバーがそろっているので、自分たちのパーソナリティーが見えるショーをして、いろんな表現ができるアーティストでありたいです」 重力から解き放たれるようなダンスで、エンターテインメントの新たな可能性を開いたAIRFOOTWORKS。4人はここで立ち止まらず、挑み続ける。 □AIRFOOTWORKS(エアフットワークス) 2018年結成のダンスパフォーマンスグループ。メンバーはリーダーの上西隆史(じょうにし・たかし)、本多諒(ほんた・りょう/RYO)、魚地菜緒(うおち・なお)、古賀虎(こが・こう)。世界初の鉄棒を使ったエアダンスで注目を集める。日本テレビ系『THE DANCE DAY』に2年連続で出演。24年大会のファーストステージでは番組史上最高得点を記録。
よもつ