「米国政府はボタンを押すだけで、我々を潰せる」テザー社CEO
だが、世界最大規模のステーブルコイン「テザー(USDT)」を発行する同社は、国際制裁を尊重しているため、米国の金融機関で米国債を保有することに問題はないと、パオロ・アルドイノCEOはインタビューで述べた。 ● 暗号資産業界大手のテザー社が再び厳しい監視の目にさらされるなか、パオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)CEOは、同社は国際制裁を尊重し、法執行機関と密接に連携していると述べたが、最終的には米当局の判断に委ねられていることを認めた。 「米国が我々を潰そうと思えば、ボタンを押すだけですぐに潰せる。我々は米国と戦うつもりはない」と同氏は述べた。 「我々は、自社のプレゼンテーションについてはベストとは言えないかもしれない。だが、重要なのは、FBIを(テザーのコンプライアンス・システムに)組み込んだことだ。シークレット・サービスも組み込んだ。司法省から感謝状を受け取った……できる限りの最善を尽くしていると思う」 米CoinDeskは25日に開催されたカンファレンス「Plan B」で同氏にインタビューを行った。その数時間前にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、米司法省(DOJ)がテザー社に対して、制裁およびマネーロンダリング防止法違反の疑いがあるとして捜査を行っているようだと伝えた。この報道を受けて、ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産は下落した。 その後、アルドイノCEOは「テザー社が捜査を受けているという兆候は一切見られない」とXに投稿し、同社はWSJの記事を「きわめて無責任」と批判した。 また先週、政治メディアのポリティコ(Politico)は、テザーが保有する800億ドル(約12兆円)の米国債をカストディ(管理・保管)している債券取引大手キャンターフィッツジェラルド(Cantor Fitzgerald)のハワード・ルトニック(Howard Lutnick)CEOに利益相反の可能性があると報じた。ルトニックCEOは、トランプ氏の政権移行チームの責任者も務めている。 米当局の監視の的となっているテザー社は、2兆ドル(300兆円)規模のグローバル・デジタル資産市場全体に影響を及ぼし得る。同社は暗号資産エコシステムにおいて重要な役割を担っており、時価総額1200億ドル(18兆円)にのぼるUSDTは業界最大のステーブルコインであり、取引所における流動性を支え、新興国では決済手段としての利用が拡大している。