【日本ハム】鼻骨骨折の伏見寅威が強行先発で1安打「痛みとかそういう話はしない。出る以上は」
<パ・CSファイナルステージ:ソフトバンク5-2日本ハム>◇第1戦◇16日◇みずほペイペイドーム 【写真】鼻骨骨折も左前打を放つ伏見寅威 戦いは始まったばかりだ。パ・リーグのCSファイナルステージが開幕し、日本ハムは初戦を落とし、アドバンテージを含め2敗となった。だが14日の練習中に打球が顔面を直撃し鼻骨を骨折した伏見寅威捕手(34)が、強行スタメンでフル出場し1安打1犠打。精神的支柱の魂あふれるプレーが、逆転突破へチームを再加速させる。 ◇ ◇ ◇ 右目の下にマスク越しにでもはっきりと分かる大きなあざを付けながら、伏見は戦い抜いた。「痛みとかそういう話はしないと監督と決めていた。出る以上は関係なく」。試合後のボクサーのように腫れ上がったまぶた。視界についても「出る以上は、何があっても言うつもりはない。普通の選手として出ました」と、強い口調で話した。 そんな状況で迎えた3回無死一塁での第1打席。いきなり打った。「展開的にも一気にバッといきたいっていう流れで。初球からいきました」。有原のカットボールを捉え左前に運び、一塁上で3度手をたたいて喜んだ。続く中島の犠打で1死二、三塁と好機が広がり、矢沢の適時内野安打で得点につながった。 再度負傷する危険性もある中、出場は伏見自身の判断に託されていた。「昨日(15日)の状態次第ってところだった」。体を張って出ることを決断し、プレーできると伝えると、新庄監督からインスタグラムのDMで「じゃあ行くぞ」と返事が来た。決まったからには言い訳はなし。スタメン起用の期待に応え最初の打席で安打を放つと、7回1死一、二塁では恐怖心など一切見せず、一塁線へ送りバントも決めた。 アドバンテージを含め2勝分リードされた格好になったが、追い込まれてこそパワーを発揮するのが今季の日本ハム。伏見は「チームのスローガンじゃないですけど、みんなで“行くだけ行くだけ”って言ってますけど、本当その感じ。何とか明日勝って、とにかく4つ勝つことしか考えてないです」。終わったことは終わったこと。シンプルに勝つことだけ考えて、6年ぶりポストシーズンをまだまだ愉しむ。【永野高輔】