未曽有の大震災を描いた日本映画の最高傑作は? 衝撃の邦画(5)東京を直下型地震が襲う…リアルすぎる展開は?
地震大国・日本。阪神・淡路大震災、東日本大震災などを題材にした映画は数多い。近年は南海トラフ地震の発生も囁かれており、気をぬけない状況が続いている。震災は人々の心に大きな傷を残したが、その教訓を活かした作品が生まれたのも事実だ。そこで今回は、震災を扱った映画を5本セレクトしてご紹介する。第5回。(文・阿部早苗)
『252 生存者あり』(2008)
監督:水田伸生 脚本:小森陽一、斉藤ひろし、水田伸生 出演:伊藤英明、内野聖陽、山田孝之、香椎由宇、木村祐一、MINJI、山本太郎、桜井幸子、大森絢音、松田悟志、西村雅彦、杉本哲太 【作品内容】 直下型地震が発生した東京を舞台に、異常気象によって致死級の巨大なひょうが降り始め、人々が大パニックになる中、首都圏を高潮が襲う。奇跡的に助かった主人公たちは救助を待ち続けるが…。 【注目ポイント】 東京を舞台に、震度5の直下型地震の数日後に、地震の影響で巨大台風が発生。さらに台風の影響で巨大なひょうが降り、逃げ惑う人たちが地下に逃げ込んだ矢先、東京湾内で高潮が発生するといった最悪の事態が重なる自然災害に直面した人々の生き残りを描いた作品だ。 監督は映画『舞妓Haaaan!!!』などの水田伸生が手がけた2008年公開のパニック映画である。 物語は地震から数日後の東京。元ハイパーレスキュー隊員の篠原(伊藤英明)は、娘の誕生日祝いのため妻と待ち合わせをしていた。篠原は銀座に、妻と娘は新橋にいる状況のなかで東京は突如巨大なひょうに襲われ、人々は地下鉄に逃げ込み大パニックとなる。そこへ都心部を飲み込んだ高潮が地下に流れ込むという展開だ。 銀座から新橋へと向かっていた篠原は、新橋駅地下鉄構内の旧新橋駅で奇跡的に助かる。そこから篠原をはじめとする男女5人の生き残り劇とハイパーレスキュー隊の活躍がメインだが、一人一人の背景と人間模様も映し出す。ちなみにタイトルでもある“252”というのは東京消防庁の通話コードであり「要救助者」などの意味がある。 本作は、東京消防庁や気象庁の協力を得て制作されたリアルな演出も特徴であり、災害時に起こりうる現象を忠実に再現するため、新橋駅や地下鉄構内を模した大規模なセットが組まれた。エキストラは約5,000人。水は3,000トンも使用した。 ハイパーレスキュー隊の活動は、東京消防庁が実際に行う救助活動に基づいており、緊張感あふれるシーンの数々も見どころだ。 近年、日本では地震活動が活発化しており、防災の重要性が改めて注目されている。特に関東地方では、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の発生リスクが指摘されているため、改めて災害への備えや対応の重要性を考えるきっかけとなる作品ではないだろうか。 (文・阿部早苗)
阿部早苗