アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」 病気の進行を抑える仕組みを金沢大学の研究チームが解明
記憶や思考能力がゆっくりと失われる認知症の1つ、アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ」は、製薬大手のエーザイなどが開発し、2023年に認可されました。 【写真を見る】アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」 病気の進行を抑える仕組みを金沢大学の研究チームが解明 レカネマブがどのように病気の進行を抑えるのか、金沢大学の研究チームが世界で初めて、その仕組みを解明しました。 金沢大学の小野賢二郎教授の研究チームと製薬大手のエーザイは、レカネマブがアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβ(ベータ)にどのように作用しているか研究していました。 アミロイドβは、脳内で変化しながら最終段階前の「プロトフィブリル」という段階で神経細胞に悪影響を与えているとされています。 研究にはアルツハイマー病の患者の脳や脊髄の周りを流れる脳脊髄液を採取し、軽度認知障害や軽度の認知症でプロトフィブリルが現れていることが分かりました。 ■アルツハイマー病治療において より患者に即した治療が可能に 金沢大学脳神経内科学・小野賢二郎教授「特筆すべきは、早期アルツハイマー病の段階で、髄液中で人の検体でプロトフィブリルの濃度が上昇していることを示したというところですね」 プロトフィブリルを脳脊髄液から検出できた例はこれまでになく、人工的な環境で研究が進められていたため、画期的な研究結果としてアメリカの医学誌のオンライン版にも掲載されました。 金沢大学脳神経内科学・小野賢二郎教授「この測定方法を臨床実用化するためには少しハードルがあるんですが、今後レカネマブの治療前後で測定して治療前後の効果を見る。さらにはよりレカネマブが、どういった患者さんに適しているか、こういったところも明らかにすることによって、アルツハイマー病も様々な方がおられるので、よりその患者さんに即した治療が実践できる可能性が出てくるということです」 アルツハイマー病の治療薬では、2023年から使用が始まったレカネマブのほか、新たな治療薬「ドナネマブ」の使用も2024年から始まっていて、患者の状態に応じた使い分けができることが期待されています。
北陸放送