リニアで水資源が流出する? 南アルプストンネル工事めぐる静岡県の懸念
「JR東海は大井川の水の流れについて認識が十分でない」と県担当者。大井川には畑薙第一ダムや井川ダムなどのダムがあり、水力発電により電力を供給しているほか、その水は水道水や農業用水、工業用水などに使用され、下流域の産業と生活を支えている。しかし、その水量は豊富ではなく、ダムが年間を通じて満水になることはほとんどない。下流域ではしばしば節水対策が施されているという。それだけにリニアの建設によって、さらに水量が減るのではないかとの強い懸念があるのだ。 静岡県は、流出した水の全量を大井川に戻すことをJR東海に表明するよう求めており、そのうえで利水者と協定を締結するよう要望している。これに対してJR東海は「大井川の河川流量が毎秒あたり2トン減少するという予測は、工事に際し覆工コンクリート、防水シート、薬液注入など環境保全措置を何も行わない条件下での結果であり、事業の実施に当たってはさまざまな環境保全措置を実施し、河川流量への影響を小さくできると想定している」と説明、県要望に対しては「内容をよく検討し丁寧に対応していく」としている。