【箱根駅伝】青学大 往路V「若乃神、ここに降臨!」 大学で陸上卒業の5区・若林に原監督うなった
◇第101回東京箱根間往復大学駅伝・往路(2025年1月2日 東京・大手町―箱根・芦ノ湖=5区間107・5キロ ) 昨年総合優勝の青学大が、5時間20分1秒で2年連続7度目の往路優勝を果たした。2位でたすきを受けた山上りの5区・若林宏樹(4年)が1時間9分11秒の区間新記録の快走で逆転に成功。原晋監督(57)が「若乃神」と名付けたスペシャリストが2位の中大に1分47秒差の大差をつけ「あいたいね大作戦」成功へ大きく前進した。復路は3日午前8時に芦ノ湖をスタートする。 最上級生となった若林が、最後の大仕事を成し遂げた。フレッシュグリーンのたすきをトップで芦ノ湖に運び、笑顔でゴールテープを切った。山決戦で中大を鮮やかに逆転し「山に対する思いで走りきることができて満足」と若林。原監督も「若乃神、ここに降臨!」と思わずうなった。 3度目の5区。抑えて入った序盤はトップの中大に離されたが、自身のペースを貫いた。宮ノ下を通過した9・5キロ付近で逆転に成功。その後は独り旅で、45秒追いかける展開だった中大に1分47秒の差をつけた。直後は脱水症状を起こすほど限界まで攻めた。 コースが変更しており、あくまで参考だが、ほぼ同距離だった05年に1時間9分12秒で走った初代・山の神、今井正人(順大)を超えた。「(1時間)8分台を出していたら山の神になれていた」と目標には及ばず。それでも「これを目標として青学に入学してくれる子が、山の神を目指してくれたらうれしい」と笑った。 芦ノ湖で最高の思い出を残した。山の神に憧れて強豪の門を叩き、1年目から5区抜てきで往路&総合優勝に貢献。昨年は区間2位の1時間9分32秒で再び優勝に貢献し、これで3度目の栄光のフィニッシュを決めた。卒業後は日本生命に就職し、陸上から離れる。「競技生活の最後の箱根駅伝になるので、存分に楽しんでやろうと思った」。心技体、全てを箱根路にぶつけた。 昨年はチーム内にインフルエンザがまん延。危機的状況だったが、今回は順風満帆だった。前日に行われた最後のミーティング、原監督からの激励に奮い立った。「往路の5人、お前たちは別格だ!」。昨年11月、若林は1万メートルで27分59秒53の自己ベストをマーク。一流ランナーとしての自信が背中を押した。 青学大は過去、往路Vなら総合優勝100%だ。今大会「大手町のフィニッシュで笑顔で会いたい」など複数の意味を込めた「あいたいね大作戦」を発令した指揮官は「(成功率は)99%。山下りでしっかり下り、7区から余裕を持って大手町に帰ってきたい」。歓喜の瞬間は、もう目の前だ。 (大和 弘明) ◇若林 宏樹(わかばやし・ひろき)2002年(平14)9月3日生まれ、和歌山県海南市出身の22歳。京都・洛南高では3年生時に全国高校駅伝1区で区間3位。青学大では箱根駅伝5区で22年3位、24年2位、25年区間賞。現役で残すレースは今月の都道府県対抗男子駅伝、2月の別府大分毎日マラソン。ハーフマラソン自己ベスト1時間1分25秒。1メートル68、51キロ。