ロシア対欧米の核戦争に現実味 モスクワでいま注目の博物館とは
ロシアのプーチン政権はウクライナを巡って欧米との対立を深め、核兵器による脅しを繰り返している。核戦争の恐怖が今まで以上に現実味を帯びる中、モスクワのとある博物館への来場者が増えているという。現地を訪ねた。 【写真まとめ】地下18階まで続くらせんの階段 その外観は目立たない低層の建物だ。だが、灰色の分厚い扉を開くと、らせん階段が地下18階まで延々と続いていた。最下部まで下りると、茶色い壁の細い通路がずっと先まで続いている。 ここは地下65メートルにある民営の冷戦博物館「ブンケル42」だ。ソ連時代にスターリンの指示で建造された核攻撃にも耐えうる地下施設で、かつては軍の長距離航空部隊の臨時司令部が置かれていた。1956年から運用が開始され、この場所から、核兵器を搭載した戦略爆撃機への指令も出されていたという。 86年に施設は閉鎖。2006年から博物館に生まれ変わった。現在は毎日7~8組のガイド付きツアーを実施し、人が集まらない回はほとんどないという。 臨時司令部のあった部屋では、核攻撃の「模擬体験」も行われている。「核のボタン」を押すと、爆風があらゆる建物を吹き飛ばす映像がスクリーンに映し出される。 来場者の30代女性は「怖くて鳥肌が立った。何が許されないかを理解するためにも、ここに来るべきだ」と語った。【モスクワ山衛守剛】