猪瀬知事問題で再び注目「百条委員会」とは?
医療法人「徳洲会」グループから5000万円の資金提供を受けていた問題をめぐり、東京都の猪瀬直樹知事がきびしい批判にさらされています。都議会の各会派からも都知事の責任を問う声が相次いでいますが、こうしたなかで注目されているのが議会に「百条委員会」を設置すべきとの意見です。この耳慣れない名称がついた委員会はどんな役割を持っているのでしょうか。
地方自治法100条に基づく
「百条委員会」とは、地方議会が設置する特別調査委員会のことです。地方自治法の第100条には、地方議会は「自治体の事務について調査し、関係者の出頭や証言を求めたり、記録の請求ができる」とあります。この第100条に基づき、必要に応じて地方議会が議決、設置するのが「百条委員会」です。 百条委員会とほかの委員会の最大の違いは「調査権」にあります。議会には常任委員会や特別委員会が常設されていますが、これらの委員会は調査権までは認められていません。しかし、百条委員会には、調査対象となっている関係者の出頭や証拠提出を求めることのできる「調査権」があり、正当な理由なく証言を拒んだりすると、禁錮や罰金が課せられる罰則規定があります。虚偽の証言を行ったときも同じです。百条委員会では、証言を二転三転させたりした場合、「偽証」に問われる可能性もあるわけです。つまり、百条委員会が持つ調査権は、衆参両院における「国政調査権」と同じ性質のものといっていいでしょう。
都議会では05年にも設置
都議会では、2005年に福祉施設の運営をめぐる問題で百条委員会が設置されたことがあり、このときは当時の石原慎太郎都知事の側近だった浜渦武生副知事が「偽証」したとされ、辞任に追い込まれました。また昨年、広島市では、新広島市民球場の建設や発注をめぐるさまざまな疑惑で、市議会に百条委員会を設置して調査・解明すべきという陳情が行われました。 百条委員会とは、地方行政に対する監視機能でもあるのです。猪瀬都知事の問題は今後、どのように真相が解明されていくのか。都議会の動きを注視しておく必要があるでしょう。 (野中ツトム/清談社)