食を「楽しさ」とともに、今治市・イタリア料理店「Ristorante So」 相原総オーナーシェフ
イタリアに今治があったら、きっとこういう味―。今治市共栄町2丁目のイタリア料理店「Ristorante So(リストランテ ソウ)」を切り盛りする相原総オーナーシェフ(36)。地元の食材を生かしながら、だしなど和食のエッセンスも巧みに調和させ、足を運ぶ食通をうならせている。 【イタリア料理の神髄】 高級料亭が軒を連ねる京都市東山区に、イタリア料理店「イル ギオットーネ」がある。東京や大阪にもブランチを構えるこの人気店で、相原シェフは弱冠27歳にして料理長を任されていた。 店のコンセプトは「もしイタリアに京都があったら」。オーナーシェフの右腕となり、メニューの考案にも意を注ぎながら約6年間にわたって腕を磨き続け、一つの確信にたどり着いた。 「地元のものを使って、食材の味を生かすこと。そしてなるべくシンプルに、楽しんでもらう。これが、地方色豊かという特長があるイタリア料理の神髄だと思います」 【「楽しさ」にこだわる】 2019年9月に妻の地元・今治にオープンした「リストランテ ソウ」では、「楽しさを提供したい」という相原シェフのこだわりが随所に感じられる。 驚くほど情報量が少ない品書きもその一つ。どんな料理か想像もつかない。例えば「ふぐ 菜の花」と食材の名称のみが簡素に記された一品。料理を待つ客のテーブルに、フグの切り身と白子、菜の花を特注の小さな土鍋でグツグツと煮込んだスープが運ばれてくる。「鮪(マグロ) 里芋」は、赤身をしっかり残したマグロのカツが、ピュレに仕立てた西条市産のサトイモ「伊予美人」やイタリア・マルサラワインのソースと舌の上でハーモニーを奏でる。 「最初は産地を含めていろいろ書いていたのですが、メニューを見た段階で全部を想像してほしくなくて変えました。先入観を裏切ることで『次はどんなのが来るのかな』と、わくわくしてもらえる」
愛媛新聞社