奥川、復活への第一歩 涙の3季ぶり白星 プロ野球・ヤクルト
多くのファン、そして誰よりも自分自身が待ち焦がれた舞台にやっと帰ってきた。 ヤクルトの奥川が5回1失点に抑え、2021年10月8日以来の白星。「ファンの皆さんを長い時間、待たせてしまった。勝つことができてうれしい」。試合終了直後の笑顔とは一転、ヒーローインタビューでは大粒の涙を流した。 1軍登板は一昨年の3月29日以来で「すごく緊張した」。序盤は球が高めに浮く場面もあったが、徐々に修正した。要所での変化球もさえ、失点はソロによる1点のみ。「内容だけ見たら全然いいとは言えないが、開き直っていくしかなかった」。打線の援護も受け、先発投手の役割を果たした。 2年目の21年に9勝を挙げてリーグ優勝に貢献したが、その後は右肘など度重なるけがに泣かされた。それでも心が折れなかったのは、支えてくれた人に恩返しをしたいという強い思いがあったから。「そこ(マウンド)に立っているのが僕にとっては幸せ。投げている最中はつらかったけど楽しかった」。言葉に実感がこもった。 昨季から背負う背番号「18」も、1軍の公式戦では初披露。「すごく大きな1勝になった。これからも勝ちに向け、一生懸命に腕を振り続けたい」。苦難を越えて手にした白星が、完全復活への道しるべになるはずだ。