「スパイ手帳」を覚えていますか?昭和の時代に胸ときめかせた"秘密の文具"
モールス信号の暗号表
メモ帳のページには、モールス信号の表もある。おそらく、人生で初めて「モールス信号」なるものに触れたのは、この「スパイメモ」だったはずだ。「1」から「0」まで、10個の数字を使って"秘密の文章"を作る暗号表もある。「スパイ指令1号全員集合」という例文が、数字の暗号によって書かれている。小学生にとっては、レベルの高い遊びでもあった。007のジェームズ・ボンドやナポレオン・ソロなど、スパイが活躍する映画が人気だった時代背景もあるが、スパイ手帳は、昭和のひと時代、一世を風靡した商品だった。 トム・クルーズ主演の映画『ミッション:インポッシブル』シリーズで、主人公のイーサン・ハントたちが、ハイテクを駆使して活躍する姿をスクリーンで観る度に、机の引き出しの奥にしまってある、少し色あせたスパイ手帳を取り出してみたくなる。いつまでもワクワクする大切な、わが"記憶遺産"である。 【東西南北論説風(494) by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】 ※『北辻利寿のニッポン記憶遺産』 昭和、平成、令和と時代が移りゆく中で、姿を消したもの、数が少なくなったもの、形を変えたもの、でも、心に留めておきたいものを、独自の視点で「ニッポン記憶遺産」として紹介するコラムです。
CBCテレビ