CLOマシン、減速に直面-AAAへの需要堅調にもかかわらず
(ブルームバーグ): 1兆3000億ドル(約209兆円)規模のローン担保証券(CLO)市場は、自らの成功の犠牲者になろうとしている。
借り入れコストが上昇した後のM&A(企業の合併・買収)の鈍化は、CLOの原資産となるレバレッジドローンの不足につながっている。ブルームバーグがまとめたデータによると、今年これまでに発表・完了したM&Aは約3110億ドル相当で、金利が上がり始めた2年前の同時期を約1兆ドル下回っている。
その結果、CLOマネジャーが購入するローンと売却するCLOの利回りの差であるエクイティーアービトラージが影響を受け、今後数カ月の新規発行を抑制する可能性がある。
また多くのマネジャーがローン流通市場に参加し同市場では現在、ローンの約60%が額面より高価格で取引されているため、CLOを組成するための割安なローンを見つけるのは非常に難しくなっている。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のCLO調査責任者、プラティク・グプタ氏は「CLOの需要が大き過ぎ、ローンの供給が少な過ぎる。CLOマネジャーは近く、やっていけなくなるだろう」と話した。マネジャーは難題に直面しているという。
今年に入りCLOの上場投資信託(ETF)に資金が流入し、最も安全なCLOトランシェへの需要が急増した。銀行も「AAA」級のCLOに資金を投じており、日本の機関投資家もAAAのCLOをさらに購入する可能性がある。
さらに、償還や繰り上げ償還などで、今年これまでに約640億ドルの債務が返済されたとBofAは見積もっている。投資家の手元資金が増えていることを意味する。
UBSアセット・マネジメントのマネジングディレクター、アミール・バルディ氏、今月バルセロナで開催されたグローバルABS(資産担保証券)会議で、既存の投資家が償還によって多額の資金を得ているため「自然に需要が生じている」と述べ、「さらに購入するために予算を増やすのはやめよう。既に投資した額を維持するだけで精いっぱいだ」と語った。