【JT杯】藤井聡太7冠「攻めが細く、厳しくなった」史上2人目3連覇の偉業途切れる
将棋日本シリーズJTプロ公式戦(JT杯)の準決勝(東海大会)、藤井聡太7冠(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖=22)、広瀬章人九段(37)の公開対局が2日、愛知県常滑市の「Aichi Sky Expo展示ホール」で行われた。 先手の広瀬が藤井を下し、5年ぶり2度目の決勝に進出した。24日に初優勝をかけ、東京都江東区「東京ビッグサイト」で行われる決勝(関東大会)で渡辺明九段と対戦する。史上2人目のJT杯3連覇を目指した藤井は準決勝で敗退した。 戦型は相掛かり。双方が飛車先の歩を突き合い、角交換からがっぷりと組み合った。相掛かりは駒組みの自由度が高く、手が広いのが特徴だ。藤井は相手の的確な指し回しにリードを奪われ、最後まで粘ったが、投了に追い込まれた。 終局後、藤井は「中盤に飛車と金と桂との取り合いになり、攻め合いになった。判断がよくなく、こちらの攻めが細い形となり、厳しくなった」と振り返った。JT杯では藤井の2年ぶり地元・愛知での公開対局となり、約1200人が熱戦を見つめた。地元白星を届けることはできなかった。 22年、藤井はJT杯を最年少の20歳4カ月で初優勝し、昨年は2連覇を達成した。JT杯では、95年に郷田真隆九段(53)が唯一、3連覇を達成している。史上2人目となる快挙は途切れた。 最終盤の「詰むや詰まざるや」の展開を抜け出した広瀬は「なんとかギリギリ残せた。(藤井7冠に)勝つことはたいへんだなと思った」と素直な感想を語った。絶対王者を倒し、勢いの乗った広瀬は「前回は準優勝だったので、なんとか1局を頑張りたい」と意気込んだ。【松浦隆司】