定年後、なにをやったらいいかわからず呆然…退屈すぎる老後を乗り切るための「とっておきの秘策」
これが「人間の本質」か
大航海時代の西欧人は、新大陸を自国のものにするために、現地の支配者以上に重い暴力によって人々を服従させ、贈り物で懐柔したりもしました。人間の欲望には際限がない。今の世界と何が違うのか。これからもいろいろなかたちで殺し合う。人間のやることはいろんな面で変わらないだろう、との思いも頭をよぎります。 心に刻まれたもう一つは、「人間は環境に応じて、じつに凄まじいことをしながら生き延びてきた」ということです。 新大陸をめざした西欧人たちは、赤道直下を航行するとき、飲み水は底をつき、食料は腐って食べられなかった。海の水は飲めないので、死ぬ直前になれば、最後は自分たちの尿を飲んでまで渇きをしのいだのも必然でした。 そうしてようやく目的の地に上陸しても、仲間が次々と原住民に殺され、命からがらその土地から逃げ去ることもありました。他方で、彼らは南北アメリカ大陸の植民地開発のために膨大な数のアフリカ黒人を奴隷にし、捕らえられた黒人たちは、アフリカ西部の海岸から積み荷のように船に押し込まれ、新大陸へと運ばれました。 また、西欧人が到達した土地には、女性を家畜のように扱い虐待する部族もいました。一夫多妻の部族もありました。出会った女性はすべて自分の妻にする。そこへほかの男がやってきて女性の奪い合いになり、相手を殺してしまうこともあります。 気候条件が悪くて食料を満足に得られないため、食べ物を求めて移動を繰り返す部族もいました。たらふく食べていそうな人たちを襲って殺し、食物を奪うわけです。なかには人を殺して食べてしまう部族もいました。現代人の感覚では信じられないようなことが、各地でおこっていたのです。 こうした記録を読むと、人間の思考や行動は、気候や周囲の環境から影響を受けることがわかります。自分の命が危ないとなれば、どんなことをしてでも生き延びようとする。人間とは、ひょっとすると今も、心底はそういう生き物なのかもしれません。 さらに連載記事〈ほとんどの人が老後を「大失敗」するのにはハッキリした原因があった…実は誤解されている「お金よりも大事なもの」〉では、老後の生活を成功させるための秘訣を紹介しています。
丹羽 宇一郎