定年後、なにをやったらいいかわからず呆然…退屈すぎる老後を乗り切るための「とっておきの秘策」
元伊藤忠商事会長、そして民間人初の中国大使を務めた丹羽宇一郎さん。仕事に生涯を捧げてきた名経営者も85歳を迎え、人生の佳境に差し掛かった。『老いた今だから』では、歳を重ねた今だからこそ見えてきた日々の楽しみ方が書かれている。 【画像】ほとんどの人が老後を大失敗する「根本的な理由」 ※本記事は丹羽宇一郎『老いた今だから』から抜粋・編集したものです。
未知のジャンルに手を出してみる
現役時代は仕事に関係する本ばかり読んできたという方は、リタイアを機に、これまで手に取ったことのない未知のジャンルの本に挑戦してみるといいと思います。 それにより、視野や思考の範囲がぐんと広がり、想像力が鍛えられ、人間に対する洞察と理解も深まっていくはずです。今すぐ何かの役に立たなくても、長い目で見たら自分を成長させてくれる読書です。 私が『大航海時代叢書』を読み始めたのは、現在につながる世界がどのようにして形成されてきたのか、人間がどのような環境で生活してきたのかがわかり、当時の社会を知ることができると思ったからです。 当時の西欧人は、未知の大陸にどのように進出したのか? 初めて現地の人たちと出会ったとき、何を考えたのか? 通訳のいない地域も多かったはずなのに、いかにして彼らと交渉したのか? あるいは、どのように現地の人々と戦い、捕らえたり殺したりしたのか? 奴隷売買はどのように行われたのか? それらの土地の人々は、西欧人が進出してくる前にはどういう生活をしていたのか? どんな言葉を話し、どういうものを食べていたのか? 婚姻や子育ての形態はどのようなものだったのか? それらの土地は、今、どういう国々になっているのか? 西欧諸国とのどういう関係のなかで「国」をつくりあげていったのか? ポルトガルやスペインの宣教師たちは、日本へキリスト教の布教に来た際、どうやって日本人のなかに入っていったのか? 日本人についてどう感じ、それを母国の修道会にどう報告したのか? そういうことを知りたくて読み進むうちに、二つのことが心に深く刻まれて残りました。 一つは、「人間という生き物は、いつの時代にも変わらないな」ということです。