ペットボトル飲料水が人体に悪影響!? 「マイクロプラスチック」従来想定の10~100倍
今回の研究内容への受け止めは?
編集部: アメリカのコロンビア大学らによる研究グループが発表した研究内容への受け止めを教えてください。 中路先生: 「ペットボトルの水と一緒にプラスチックも飲んでいた」という衝撃的な報告ですが、それなら「水道水」で代用すればいいことになります。しかし、残念なことに日本以外の海外で水道水を安全に利用できる国は限られているので、感染性胃腸炎のリスクなどが高まるでしょう。また、ペットボトルのように何時でも手軽に飲水ができないため「脱水」傾向になり、脳血管障害のリスクなども高まると考えられます。 加えて、地球の温暖化も考慮すべきです。人はいったん便利なものを手にいれると、なかなかそれから離れることは困難です。したがって、この論文の解釈としては、決して「ペットボトルの水が危険だから飲んではいけない」というのではなく、このエビデンスを踏まえて「どの程度までなら許容されるのか」「そのためにはどうすればよいか」ということを議論していく必要があると考えられます。
編集部まとめ
アメリカのコロンビア大学らの研究グループは、ペットボトルに入った飲料水に含まれるマイクロプラスチックやナノプラスチック粒子の数が、従来想定されていた10~100倍にも相当する1リットルあたり24万個に上るとする研究結果を発表しました。マイクロプラスチックの人体への影響が指摘されているので、今回の発表は大きな注目を集めています。
【この記事の監修医師】
中路 幸之助 先生(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター) 1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。