【箱根駅伝の一番星】「チームを引っ張ってくれた4年生が笑って卒業できるように」順大・村尾雄己が主力としての自覚を持って主要区間を走る
陸マガの箱根駅伝2024カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では、出場23校の注目選手を紹介。昨年、順天堂大で三大駅伝に1年生で出走したのは3000mSCでも活躍する村尾雄己(2年)ただ一人だった。箱根に出走するも満足いく走りはできず、涙を流したが、その経験を経て迎えた今季、先輩方や後輩から刺激を受け、大きな成長を遂げた。主軸として覚悟を持って2度目の箱根路へ挑む。
学生の枠を超える戦いを経験しさらなる高みを目指す
前回の箱根駅伝は順大のなかでただ一人の1年生として出走するも、6区区間17位。フィニッシュ地点の大手町で4年生から「来年、頑張ればいい」と声をかけられると人目もはばからず、号泣した。 「あそこまで悔しく、情けないレースは初めてでした。自分の練習やレースに対しての甘さを痛感しました」 その経験から新チームでは自ら、前に出て引っ張る存在になろうと決めた。高校時代から村尾の周囲には常にエース格の選手がおり、そこについていくことが多かったが、その役目を自分で担うことにより、競技力向上につなげたいと考えたためである。 「まだ先の話ですが、4年目にはキャプテンもやりたいです。昨年度だった主将だった西澤侑真さん(現・トヨタ紡織)も箱根前には自分に“好きなように走ってこい”と励ましてくれるなど、いつも周りに気を配って言葉をかけてくれていて、自分もそういう周りを安心させられる存在になりたいと思っています」 トラックでは3000mSCが専門。この種目で世界と戦う三浦龍司(4年)の背中を追うが、同時に今年は5000mで日本人高校最高記録を持つ高校の後輩、吉岡大翔が入学し、大いに刺激を受けた。6月には初の日本選手権出場も果たし、実業団選手とも競い合った。 「この経験も大きかったですね。来年からは出るだけでなく、そこで戦えるようになりたいと考えています。三浦さんだけでなく、吉岡もレベルの高いところを目指しているので同じ景色を見たいです」と学生の枠を超える経験をし、さらに速くなりたいという思いが強くなったという。